100万hit企画

□敗けっぱなしの一方通行友情
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その努力が激しく無駄だと邪龍に言われようが、どうせ無理だと金獅子に呆れられようが、兎に角こっちはそうしたいのだ。

やっぱ、友達は多い方が良いじゃん?



「アールちー!向こうでチェスしよーぜ!チェス!!」

「ちぇす?なぁにそれ?」

「取り合えず敵をしばき倒す仁義無き骨肉の争いをボード化したゲーム」

「ベルそれ全くちゃいますわ、どんなゲームやルール無用過ぎんやろ」

「え?そうだっけ?じゃあ解りやすいオセロにするアルちー?」

「興味無い。だから僕にはどうでも良い。あっち行ってて舞雷竜」

「えぇーーー!! 遊ぼーぜアルちーー!!」

「僕舞雷竜にも興味無い。多分好きじゃない。
あれ?そう言えば舞雷竜ってどうして此処に居るんだっけ?いつから居たの?」

「直球の拒絶!!!そして安定の忘却!!!」


そんな言葉を俺に叩き付けるとアルちーは無表情で立ち去ってしまった。そのクールさが酷く憎らしい。
未だに無表情以外の変化を引き出した事の無い俺にとってその顔は見慣れたもんなんだけど、たまには違う一面も見たいんだよなぁ。
男女性別不明っても顔の造りは良いんだから、もーちょっと表情筋働かせても良くね?勿体無くね?そう思うの俺だけ?


「チクショウ今日もフラれたー!何が駄目なんだよラー子〜!」

「なしてウチに訊くんや…アルバなんてほっとけば良えやろ、無理に絡む義理は無いやん」

「だってさ〜…」

「あ、もしかしてベルはアルバにお熱なん?」

「いやーそれは違うね!胸を張って言うが断じてその方面の感情は無い!
俺は友達的ライク!勿論ラー子もライク!」

「さいでっかーおおきにー」

「ラー子って結構冷めてるよな!! ラー子も俺好きだろ!?」

「安心し、ウザい半分うわコイツ面倒が半分や」

「好き要素の欠片も無いってか!!」


そんな素っ気ない台詞を言いながらもラー子は一応俺を気にかけてくれるから、嫌われては無いんだろう、多分だけど。一回俺ラー子の女っ気の無さについて地雷踏んで激昂モードで殺されかけた事もあったけど。(だからそういう暴力にモノを言わせる辺りが女としてどうなのって感じ)
でも何だかんだで色々話はするし、言葉は返してくれるから不仲じゃない。
いつも厳しそうな雰囲気して澄ました面持ちだけど、絡めば結構良い奴だ。

に、比べて…アルちーは本当に解らねぇんだよなぁ……。感情と表情の起伏が皆無に付け加え、周囲にも興味を示さないんだから。
何だろ、同じ無表情なのにルー太とは全く別方向の難しさがあるんだ。ルー太は全然難解じゃねぇよ?飴あげるつったら来るもん。祖龍が喜んで来るもん。(しかし後々バルるんに盛大に怒られるから恐い)

お茶しよーって言ってもゲームしよーって言っても一緒に寝よーって言ってもお決まりの「何で?嫌だ」で勝負は強制終了、俺の黒星は連なりっぱなしだ。
はぁー…と溜め息を吐いてその場に座り込むと、ラー子は心底理解出来ないとばかりに言ってきた。


「なしてそんなアルバと絡みたがるんや?ベルももう解っとるやろ、あの龍は根底から終わってる。話なんて早々噛み合う筈無いんやで?」

「…でもさー…一緒に住んでんだから仲良くしたいじゃん? 楽しい事は沢山あった方が良いし、友達は多い方が嬉しいじゃん?」

「友達って……ベル、アンタ何か勘違いしてんちゃいます? ウチ等はボレアス様に集められた同志なだけで、仲良しこよしする為に居るんやない。
馬鹿馬鹿しい馴れ合いはボレアス様が嫌いますわ」

「ボスちょんが嫌でも俺はそうしたいわけ!!
仲良くする事の何がNGなんだよ?せっかくおんなじ志の竜が集まってんのに皆無関心なんて、それこそ無駄だね!
俺はぜぇぇーーったいアルちーと仲良くなるぜ!!」

「……どうせ無理だと思うんやけどね…」

「やってみなきゃ解んねぇだろーが!!」

「なら勝手にしなはれ」


勢い良く立ち上がり、意気込みを表す様に俺は自分の頬を張る。かなり強く叩いたもんだから痛かったしヒリヒリしてちょっと後悔したが、それをエンジンにして早速アルちーの後を追い掛けた。
動く度に揺れる俺の自慢の長髪をラー子は眺めながら短い嘆息を漏らす。


「ほんまに馬鹿ベルやなぁ……勝負はもう目に見えとるっちゅーのに」


そんな呟きは広間を出ていった俺の耳には残念ながら入らなかった。
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