雑多

□迷子旅
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学校から何も持たずに飛び出してから、もう何時間たっただろう。
気がつくと、明るかった空は1日を終わらせようとしている。
風が冷たくなって、乾いた涙のあとを刺してくる。

本当は足が棒のようだし、お腹も空いた。痛い。寒い。怖い。

知らない街。引き返す道すらもわからなくなってきた。

それでもワタシは、キミに会いたくて、キミを見つけたくて、迷子の子供みたいにふらふら歩き続けるの。

会いたい・・・

キミがいない日なんて1回もなかったのに

いつもキミはワタシのそばにいてくれたのに

もう会えないなんてことないよね?

ねぇ、どこに行ったの?

闇が不安を煽る。ワタシ自分の影を眺めながら、気持ちを落ち着かせようと深く息を吸う。

そこで、ある違和感を感じてしまった。

本当にキミは家出したの?


誰ガ家出シタッテ言ッタノ?


思えば家出したなんて誰かがワタシに教えた記憶なんてない。
ううん、誰もそんなこと言ってなかった。

ワタシの記憶は捏造ってこと?

じゃあ・・・、


ジャアキミガイナイ日ガ“ナイ”ノハ嘘?


頭の中の何かがざわめく。

思い出しちゃいけないんだって。

1つ1つ違和感に気づくたびに、大きくなっていく。


でも、もしキミを見つけ出せる鍵だとしたら。

ワタシはざわめきを振り払って、突然声をかけてきた不思議な男性に教わった道を歩いた。

ビルとビルの隙間。
なぜか街がくるくると変わっていく感覚がした。

散歩の終点。そこにあったのは黒と黄色のしま模様。
耳につく高い音。交互に点滅する2つのランプ。


ああ、ワタシは―――


振り切るんじゃなかった。
教わるんじゃなかった。

これで思い出してしまった。


ホントは―――


ホントはもう、キミは―――・・・


フラッシュバック。
煙突から昇るキミの煙。
手を振るワタシ。
ものすごい速さに掻き消されたキミ。
暗闇にひとりぼっちデトリノコサレタ、ワタシ―――。

ワタシは地べたに崩れ落ち、絶叫した。
それでも入ってくる記憶は止まらずに、全て脳裏によみがえってしまった。


キミハモウ、ドコニモイナイ・・・・・・



冷たい空気を体内に出し入れしながら、ワタシは歩きだした。

ワタシが立ち止まったのは、キミを最後に見た場所だった。

もう戻ることのないことはわかってる。でも、これでいいの。


やっぱりキミに会いたいんだ。
キミに会いたくてここまでやって来たんだ。

キミとずっと一緒にいたい。

だから、体内を満たす空気も、うるさく鳴り続ける鼓動も、ジャマでしかないんだ。

再び赤い光が点滅する。
かん高い機械音が響く。

怖くないなんて言えば嘘だけれど、それ以上にキミと同じ方法で会いに行けることの方が大きい。

だから、この涙は哀しみじゃない。

眩しい光が2点、まっすぐに近づいてくる。
ワタシには、その光が走ってくる大好きなキミに見えた。
だからワタシはキミに抱きしめてもらいたくて、両手を広げて大声で言ったんだ。






―――ただいま



会いたかったよ―――



End

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