雑多
□降水量100%、快晴
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「好きですっ」
なんて、言ってしまったついさっきの私。
呼び出した体育館裏口、プール臭い小さな道は普段誰も通らない。
「明日からの夏休みも、その先もずっと、2人で会ってほしいの!」
金属バットがボールを殴りつけたような音。
あまりにも軽やかなその音は、私の心を砕くそれと和声して―――それはもう、泣く程綺麗な音。
背伸びなんて、しなきゃ良かった。
過去に飛べるドアがあるなら、私は紛れもなくそれを使うことでしょう。
我慢していれば、仕舞い込んでおけば、きっと今頃―――・・・。
君の興味なんてかえない。
君は私の手に入らない。
はじめからわかってた。
それでも「会いたくない」なんて言葉は言われたくなかったな・・・。
「・・・う・・・ッ」
誰も私を見てくれない。
君もその1人だったけど、でもお金持ちに媚びるような人じゃなかった。他の人たちとは違った。
たった1つ、君との関係だけが欲しかったのに―――。
彼は言った。「周りを見下している君とは付き合えない。だから夏休みは会えない、会いたくない」って。彼らしい、はっきりとした正直な言葉。
繰り返し思い出して、何度も頭の中で叫ぶ。
どんなものでも引き換えにするから、何も誰もいらないからそんなこと言わないで・・・!
嗚呼、言われたばかりだというのに、周りの人々を捨てようとする傲慢さ。
どうしようもないね。
救いようもないよ。
見上げると、どこからだろう、でしゃばるように頭上を躍り出た風船が、尾を揺らして真夏の空へ吸い込まれていくのが見えた。
ちびっこが手でも離しちゃったのかな。あはは、私みたいだ。この手から去ってしまった、何もかも・・・。
ちびっこのように顔はくしゃくしゃ、両手に慰められる目からは大粒、一目もはばからず声を上げてなく私の姿は、どれだけ滑稽なものだろうか?
だってよりによってこの快晴。
こんな日に限って、あの日見たのとおんなじ、夏の大空。
眩しくてもう目も開けないよ、どうしてくれるの?
End