雑多

□ウェルカム・ロマンス
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あっどうも、ウェンディです。
このところ少し気になることがあります。


「ナツ兄ィ〜!今日はオレもつれてってくれよ!」

はっと振り返ると、仕事に行こうとするナツさんとハッピーに、ロメオくんが同行を乞いていた。
ナツさんが笑顔でうなずいたら、嬉しそうにガッツポーズをする。そんな姿がなんだかかわいいようなかっこいいようなで、マカオさんの心配を軽く受け流して出ていく背中が見えなくなるまで、じっと放心状態でいてしまった。


そうです。私はなぜか、ロメオくんのことが気になるのです。7年間は私よりうんと小さかった男の子。それが今は年齢も身長もあまり変わらず、(両方とも少し上かもしれないけど)筋肉もついて、少し声も低くなってて・・・。時が止まっていた私にとって、その変化は強い衝撃だった。それは変わり果てたギルドよりも大きく、胸の奥で何かが響くほどのもので。


・・・一体なんなんだろう?
水面の上で小さく弾けて、全身に波紋を広げる“響き”は、それからもロメオくんが視界に入る度に音を立てた。
ううん、最近はロメオくんのこと考えただけでもそう。

「私・・・どうしちゃったんだろう・・・?」
「何かあったの?ウェンディ」

帰り道、シャルルが訝しげに見上げてきた。

「うん。なんかね、シャルル。私・・・」

私は隠すことなくシャルルに話した。

「―――というわけなの。シャルル、私何か変だよね?」
「ふぅん・・・。ねぇウェンディ、それって―――」


その時、足元の何かにつまずいた。

「キャッ」

いつも通り前のめりに倒れる。だけど重要なのは、ここは坂になっているということ。それも下り坂。このまま倒れたら転がっていくかもしれない。わかるのにどうすることもできず、ただ倒れる身体。
シャルルの私を呼ぶ叫び声が聞こえた。


「―――え?痛くな・・・い?」

妙な違和感に、いつの間にか閉じていた目を開ける。至近距離にあったのは布をまとった固い温もり。

「大丈夫?ウェンディ姉ェ」

ロメオくんの声がして、私はようやく、彼に抱き止められたんだと気づいた。


・・・“抱き止められた”?


「ひゃあぁあああ!!ごっごめんねっ!!!?」
「え?いや、いいけど・・・」

大慌てで引き離れたけど、そのせいで頭が回らない。非常に恥ずかしい。
しかもさっき、布の下の肌色まで見えちゃったような・・・

はゎわわ!!!何考えてるの私ッ!?!!

「ナツ兄ィの依頼が早く終わったから、日が暮れる前に帰ってこられたんだ」
「そ、そうなんだ・・・」

私は顔に手を触れながら、ロメオくんから目をそむけた。まだ頬が熱くていけない。

「ウェンディ姉ェが転びそうになった時はびっくりしたよ。間に合ってよか・・・・・・プッフフ」

ロメオくんが話の途中で急に吹き出した。びっくりして顔を上げると、心底おもしろそうな大きい笑顔。

「本当昔から変わんねーな!そういうこと!」

・・・あぁ、また“響き”。
それじゃ、といって手を振る姿は、西の太陽に照らされてすごく輝いていた。


「―――で、話に戻るけど。・・・ウェンディ」
一瞬、シャルルのことを忘れていた私はハッと我に返る。シャルルはそんなことは気にせず、真顔でこう言った。


「あなた、恋したのよ。あの子に」

End

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