雑多
□罪の行方
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月明かりの美しい夜の森。
双子が手をつなぎ、語りあいながら立ち尽くしている。
弟が訊ねる。
「この音は何? 鳥の・・・歌?」
姉が答える。
「ちがうわ それは森の鳴き声」
弟は訊ねる。
「なら今輝いているのは・・・月の光?」
姉は答える。
「いいえそれもちがう 燃える炎よ」
―――かつて「母さん」と呼んだ森の「魔女」は
「罪」を残し灰になった―――
いつもはもう少し静かなハズの森
月明かりか炎の光か 美しい金髪を輝かせて
双子は、言った。
「残された「始まりの罪」は 僕らの手で分けようね・・・」
「色欲」は 花
「悪食」は 種
「傲慢」は 石
「嫉妬」は 泉
「怠惰」は 風
「強欲」は 土
そして 「憤怒」は
森
舞い上がれ七つの罪
偽りの母から 生まれた穢れ
回れ廻れ世界よ
この悪しき大罪 清めてよ―――・・・
炎は燃える。
「我が家」と呼び慣れ親しんだ家を焼きつくしていく。
「―――行こっか
「本当の」母さんと父さんの所へ・・・・・・」
双子の1人が笑みを浮かべながら言った。だがそれがどちらなのか、もうわからない。
―――るりら・・・るりら・・・
双子は背を向け、歌いながら歩きだす
るりら・・・るりら・・・
お互い手を離さず、ゆっくりとした歩調で
るりら・・・るりら・・・
その心は何を思っているのか、何も考えていないのか
るりら・・・るりら・・・
月明かりも炎の光も届かない、深い闇へ消えていった
End