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□愚者の結論
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懲りずにEDネタ(でも短め)
PT厳しめ、中でも特にティア、ナタリア、ジェイド厳しめ
ローレライ仲間

主体→黒アッシュ&黒ルーク&黒ローレライ








ND2020 赤い髪の英雄、タタル渓谷にて帰還されたし。彼の者はローレライの鍵を所持し、またローレライの神子であった。


「ルーク…」

ティアの台詞に青年は微笑む。

「貴方は、誰ですか?」

ジェイドは聞くが返ってきたのもまた質問で。

「誰であってほしい?」

「…どういうことだ?」

「テメェらが望むのは俺か? それともみんなが望むのは俺か?」

前者は眉間にシワを寄せ低く、後者は目尻を下げて高く響く。

「どちらでもないなら私が戻ろう」

無表情で紡がれた声はどちらともつかぬ高低で響き、誰もが声を失った。

「誰がほしい?」

沈黙を破ってクスクスと笑う声は響く。誰ともつかぬ音で響く。

「ルークか?」

ティアを見る。

「アッシュか?」

ナタリアを見る。

「二人であり二人ではない存在か?」

ジェイドを見る。

「何を望む?」

クスクス。

青年は楽しそうに眺めている。

「冤罪で贖罪を強要された哀れなレプリカ。化け物と呼ばれ身内に捨てられたオリジナル。そのどちらでもありどちらでもない"私"。何を迷う? あの時のように選べばいい。自分たちの都合が良いものを、選べ」

「あの時?」

「レムの塔」

あの時、世界が選んだ犠牲はレプリカだった。オリジナルは安全な場所で傍観を決め込んで。

そして今青年が提示している選択肢はあの時と同じだということに、彼らは気づいていない。

「貴方は、何がしたいのですか?」

返事はない。
ただ青年は笑うばかり。


内心ティアとガイはルークが戻って来てほしいと思っていた。ナタリアはアッシュを。ジェイドはビックバンの理論からルークの記憶を持ったアッシュが戻るだろうと思っていたし、アニスもどちらか選べと言われればアッシュよりもルークに戻って来てほしいと思っていた。

しかし誰も何も言わない。

視線が絡み、それぞれの表情からは誰が戻って来てほしいかなどわかりきったことで。

しかしそれを口に出してはいけない気がして、沈黙ばかりが続いた。

すると。

「タイムオーバー!」

突然叫んだかと思うと青年は光を纏いながら透けていく。

「ルーク!」

名を呼び駆け寄るティアにルークは笑った。

「言っただろ? タイムオーバーってさ。選べなかったティアが悪いんだぜ?」

「貴方はルーク、なのですか」

ジェイドの言葉に青年は嗤う。

「貴公は誰だったら納得する。選べもしない。見分けもつかない愚者に答えてやるほど私は優しくないぞ」

「アッシュは、アッシュはどうしたのです!?」

必死なナタリアにアッシュは嘲笑混じりの微笑みを向ける。

「ナタリア、お前も結局選べなかった。間違いを恐れて無難な答えを模索していたんだろう?」

それぞれがなんとも言えない表情で立ちすくむ中、青年は言う。

『お前たちが望むお人形はもういないんだよ』

クスクスと笑い消えて行く赤は、誰も見たことが無いような表情をしていたという。











愚者の結論
(一人しか選べないなんて言ってないよ?)


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