ノベル

□他人は自らの鏡
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アブソープゲート、フローリアン見つける少し前
ヴァン厳しめで死亡、リグレットとばっちりで厳しめ、PT(全体的に)厳しめ
残酷表現、アシュルク要素有り
主体→黒ルーク





「ではルーク、おまえはどうだ?」

アッシュが即答で断った為にヴァンはルークへ白羽の矢を立てる。その表情は、笑顔。ルークが一番嫌う種類の。

「…師匠は何故俺が師匠について行くと思うんですか? 劣化レプリカと罵り、裏切り、切り捨てた癖に。都合が良くなると"迎え入れてやろう"? 馬鹿にするのも大概にしてください」

にこり。

それはもう清々しいまでの笑顔でルークは続ける。

「アッシュだけなんです。俺に嘘をつかないのは。偽ったり誤魔化したりしないのは」

劣化レプリカというのも屑というのも傷つくけれど本当のことで、いつも口は悪いがルークに正面からぶつかってきたのはアッシュだけだった。同行者はルークを見下し時に嘲るばかりで、ルークを受け止めるというよりは受け流しているだけで。

「そのアッシュが断ったのに、俺が頷くとでも思ったんですか? アタマ大丈夫ですか、せ、ん、せ、い」

明らかに馬鹿にしているルークにヴァンの顔が引き攣る。

「出来損なった愚かなレプリカ。そう思って見下すのは結構。だからといって俺はアンタの妄想に付き合うほどお人よしじゃねーんだよ」

吐き捨てるように言った後、鈍い音を立ててカトラスがヴァンの肩を貫く。ヴァンは驚愕に染まった眼でルークを睨む。

「アッシュが言ったんだ。アンタを殺せって。だから俺のために死んでください。前はトドメを刺し損ねたからアッシュがキレて、俺、かなり落ち込んだんですから」

リグレットが銃口を向けてくるが、構わずルークはヴァンに向かって歩いて行く。

「撃つ気が無ぇなら銃を持つな、無能!」

パン、と光が弾けてリグレットの譜銃が消失する。同時に手首の動脈を傷つけたらしく、夥しい量の出血が見て取れる。

「ねぇ師匠。幸せでしょう。死んでも誰かの役に立てるなら」

何の躊躇いも無く肩から引き抜かれた剣(カトラス)は赤いまま。

「アンタを慕うレプリカルークはアクゼリュスで死んだんです」

先程から笑い続けるルーク。

「俺の幸せのために、死んでくれますよね、師匠」

ヴァンは剣を抜こうとして、パン、と光が弾ける音を聞いた。

「もう躊躇わない。貴方の首をアッシュにプレゼントします」

咄嗟に間合いを取ろうとヴァンはバックステップを踏む。

…はずだった。

「だったら心臓はテメェにくれてやるよ」

自らの腹を貫く黒刃。
前後で交わされる会話は同じ声。

「ありがとう、アッシュ」

にこり。

笑うルークは心から楽しそうに、ヴァンの首を切り落としたという。











他人は自らの鏡
(貴方が私を捨てるなら、貴方も私には必要ない)


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