ノベル

□明日は我が身
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アシュルク要素あり
PT厳しめで全員死亡
またEDネタ
残酷表現あり

主体→黒アッシュ&黒ルーク











大譜歌が歌われた夜、彼の英雄は還ってきた。

「――約束、してたからな」

「ルーク…」

ティアが青年に近づいていく。

直後、風が唸り誰かが叫び、ティアは反射的に飛び退る。

逃げた獲物に青年は舌打ちをした。

「何で避けちまうのかなあ…」

「!?」

自分がつい先程まで立っていた場所には深々とローレライの鍵が突き刺さっていて、とても冗談とは思えない。

これではまるで、殺そうとしているようではないか。

「お前の詰めが甘いからだ」

「アッシュ」

後ろから歩いてきたアッシュはルークと並ぶ。

アッシュの名を聞き、すぐに反応したナタリアは前に出ようとして耳を疑う台詞を聞いた。

「寄るな」

「なっ何故ですのアッシュ! 私たちは婚約者ではありませんか!」

ナタリアの台詞に二人は目配せし、ゆるゆるとルークが横に首を振る。

「いつの話をしている」

「え…」

「いつの話をしているのか聞いているんだが?」

「無駄だよアッシュ。理解なんてしてない」

ルークのセリフにナタリアは首を傾げるが、アッシュはすぐに頷いた。

「お前はどうする」

「決まってる」

ルークは地面からローレライの鍵を引き抜き、その勢いを活かして正面にいたガイの腹を刺した。

「ルー、ク?」

まさかルークが刺してくるなど思わなかったガイは無抵抗で半瞬遅れて口から血が零れていく。

同時に誰かが悲鳴を上げた気がするがルークにとっては塵ほどの価値も無いそれを無視し、薄く笑ったままローレライの鍵を握り絞める。

「俺さ、旅の間ずっとずっと我慢してたんだ。笑ってごまかしながらお前をいつ殺せるのかって。でも、もう良いよな。全部終わったんだからさ。お前は俺を殺そうとした、だから文句なんてないよな? さようなら、復讐者ガイラルディア」

一度鍵を引き抜き今度こそ心臓を貫く。

苦しまないようにしてやったのが慈悲だと言い、超振動ですべてを消した。

「ルーク! なんということを…」

「テメェもだよ」

パン、と聞き慣れない音を聞いたかと思うと胸を伝う温かいもの。

それは血液だとナタリアが認識する前に足が崩れ、銃口が額に押し当てられる。

「お前がオリジナルを肯定すればレプリカは否定される。そんな簡単なことにも気づけない偽姫、庶民の娘メリル・オークランド。何故俺が愛さなくてはならない? 入れ替わったことに全く気づかなかったお前を、どうして俺が受け入れないといけないんだ」

躊躇う事なく引かれたトリガー。

その身体が地面に倒れる前にフォニムに変わり消えていく。

「ティア」

ルークの声は今まで聞いた中で一番優しい響きがあったが、今は恐怖を煽るだけで優しさなど微塵も感じられない。

「お前はいつも俺を見下してたよな。何も出来ない貴族のお坊ちゃんって。だけど俺だって何度お前の首を刎ねようとしたのを我慢したか知ってるか? 知らないし気づきもしなかっただろ? そんな馬鹿、俺が受け入れると本気で思ってたのかよ。恥を知れ、無能軍人」

ローレライの鍵が細い首を切り落とす。

転がる頭はアニスとジェイドの足元に着き、アニスが悲鳴を上げて尻餅をつく。

それを見たルークが子供のように笑う。

「ジェイド」

ルークが呼び、アッシュが銃を構えている。

ジェイドは何もかも悟ったのか、これといった抵抗もせず眼鏡を押さえている。

「なにもかもわかった風情で人をイラつかせる台詞ばかり吐く薄汚い口しか持たない無能な懐刀。よくもあの程度の譜力と頭で大佐なんて地位にいられたな? マルクトは余程人材に恵まれてないと知れる。いっそ生まれ変われ。手伝ってやるぞ?」

「寧ろお前なんて生まれなきゃ良かったのにな?」

ルークの嘲笑に僅かながらに表情を歪めるジェイド。

「違いない」

アッシュが笑いトリガーを引く。

小気味良い音と共にジェイドが倒れた。

「ひっ…」

アニスが震えながら二人を見た。

「自覚がありながら人殺しを幇助した揚句、守るべき主を殺してくれと差し出した愚か者。それを棚に上げて人を罵るとは良い度胸だ。たかが庶民の小娘が王族を罵るなど言語道断。己が身の死を以って贖え」

ルークが後ろから腹を裂き、アッシュが脳天を撃ち抜いてアニスは死んだ。

「アッシュ、気をつけてくれよ。俺に当たったらどーすんだ!」

「そんなヘマはしねぇ」

アッシュは譜銃をフォニムに変えて腕を組む。

「…なあ、これからどうする?」

死体の腕を持ち上げて遊びながらルークは自分でも考えてみる。

「バチカル? ダアト? それとも…」

「…全部だ」

アッシュの答えにルークは目を輝かせる。

「俺、アッシュ大好き!」

勢いよく飛びついたルークを受け止めながらアッシュは柔らかく笑う。

「手始めにダアトへ行くか」

「いっぱい遊べそうだな!」

楽しみだ、と続けたルークの眼の奥に冷たい光が宿る。

「俺たちを馬鹿にしてくれたお礼がまだだったよな?」

「…ああ」

アッシュの眼にもルークと同様の光が宿る。

「これからユリアのスコアが成就する。感謝してもらいたいくらいだ」

血濡れのローレライの鍵を手にしてルークは上機嫌に鼻歌を歌う。

「早く始めようぜ!」

ルークが手を翳してセブンスフォニムを集めていく。アッシュもそれに倣い手を翳す。

超振動を起こして消える直前まで二人は笑いあっていた。













明日は我が身
(世界が俺たちにくれた絶望を、倍にして返すよ)


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