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愚者の結論、別バージョン
ティア、ナタリア、ジェイド厳しめ
実は冒頭部分を活かせなかったので書き直したバージョンだったり
というわけで前半は同じです、後半から違います
ローレライとアッシュとルークが黒いのは変わらない
そして続かない! 予定!






ND2020 赤い髪の英雄、タタル渓谷にて帰還されたし。彼の者はローレライの鍵を所持し、またローレライの神子であった。


「ルーク…」

ティアの台詞に青年は微笑む。

「貴方は、誰ですか?」

ジェイドは聞くが返ってきたのもまた質問で。

「誰であってほしい?」

「…どういうことだ?」

「テメェらが望むのは俺か? それともみんなが望むのは俺か?」

前者は眉間にシワを寄せ低く、後者は目尻を下げて高く響く。

「どちらでもないなら私が戻ろう」

無表情で紡がれた声はどちらともつかぬ高低で響き、誰もが声を失った。

「誰がほしい?」

沈黙を破ってクスクスと笑う声は響く。誰ともつかぬ音で響く。

「ルークか?」

ティアを見る。

「アッシュか?」

ナタリアを見る。

「二人であり二人ではない存在か?」

ジェイドを見る。

「何を望む?」

クスクス。

青年は楽しそうに眺めている。

「冤罪で贖罪を強要された哀れなレプリカ。化け物と呼ばれ身内に捨てられたオリジナル。そのどちらでもありどちらでもない"私"。何を迷う? あの時のように選べばいい。自分たちの都合が良いものを、選べ」

「あの時?」

「レムの塔」

あの時、世界が選んだ犠牲はレプリカだった。オリジナルは安全な場所で傍観を決め込んで。

そして今青年が提示している選択肢はあの時と同じだということに、彼らは気づいていない。

「貴方は、何がしたいのですか?」

返事はない。
ただ青年は笑うばかり。



「…ルークを」

ティアが言う。

「ルークを、返して。約束していたんだもの…!」

「では」

青年は手を広げ二つの光を生む。右には朱色が強く光り、左には紅色が強く光る。

淡く光を残し、二人は目を閉じた状態で浮いていた。

「ルーク!」

駆け寄ったティアがルークに触れようとした瞬間、バチンと電流が流れているかのように光の膜で弾かれてしまった。

「どうして? ルークを返してくれるんでしょう!?」

ティアの台詞に青年は動じず、その手にローレライの鍵を具現化させる。

「ルークがほしいのならば、アッシュを殺せ」

「なんですって…?」

「アッシュを殺さなければルークは戻らない」

トン、と軽く渡された鍵を思わずティアが受け取り、しかし今度はナタリアが叫ぶ。

「アッシュは戻らないのですか!? そこにいるのはアッシュでしょう!」

「アッシュを還すのならば、ルークを殺せ。難しいことではないだろう? 今なら抵抗もしない。鍵を刺せば良いだけだ」

鍵を握ったまま呆然と立ちすくむティア。その様子を見てナタリアが叫ぶ。

「アッシュに戻って頂かなくてはいけないのですから、アッシュを殺すなんて許しませんわ!」

ナタリアの声で我に返ったティアも負けじと叫ぶ。

「でもルークは私と約束したのよ! ルークだって殺せないわ!」

喚き出した二人を一瞥し今度はジェイドが青年に尋ねた。

「二人を望んだ場合はどうなるのですか」

「もうわかっているんじゃないのかネクロマンサー」

「…」

「二人を還してほしいなら――」

ぴたり、と雑音が消える。

「この場にいる全員が命を差し出せ」

「そんな…!」

「あんまりですわ!」

「ならば何も望まなければ良いだろう? 誰も死なない。最善の方法だ」

「!」

青年の台詞に誰もが言葉を失い凍り付く。

「今一度問う。オリジナルを殺しレプリカを望むか? レプリカを殺しオリジナルを望むか? それとも英雄を見限るか?」

「――私たちだけでは決められません。時間をもらえませんか」

ジェイドが顔を俯かせ苦汁の選択だと言わんばかりの態度に青年は無表情で応えた。

「よかろう。…三日だ。三日後に再び此処へ」

言い終えた青年は二つの光と共に消えていく。



その様子を楽しげに見ていた二人がいたことは、青年だけが知っている。





愚者の選択
(それがお前たちの報い)

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