ノベル
□繰り返しの結果
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アシュルク要素あり
ガイ厳しめで死亡
残酷表現あり
カースロットイベント
アッシュとルークが逆行して真っ黒
主体→黒アシュ&黒ルク
我が同位体を殺めしは、誰ぞ。
それはこの世にある憎悪全てを具現せし物。
テオルの森を進んでいくと現れた六神将。
「前ばかり気にしてはいかんな。坊主」
その台詞を聞き微かに吊り上がったルークの口許。
ざくり。
肉を裂く音や流れる血にも気にする事なく続けられるガイの斬撃。それを避けも反撃もせず立ち尽くすルーク。
ざくリ、ざクり。
その光景はまさに異常。気を強く持たねば呑まれ転げ落ちる奈落の底。
「ガイ! 貴方何を…ッ?!」
ティアの声に我を取り戻すメンバーは状況が理解出来ずにただ見守るだけ。
唯一ティアはルークを守るべく前に飛び出しロッドを構えたが、ガイの目を見た瞬間に凍り付く。
「…」
ガイは光の無い眼でティアを邪魔なものだと認識し、右腕を思い切り振り上げる。
「満足か?」
ルークの台詞にガイの腕が止まる。
「ファブレ公爵家が嫡男、ルーク・フォン・ファブレを殺すこと。それが貴公の目的だろう。ガルディオス伯爵家、ガイラルディア・ガラン」
致命傷を受けた人間が淡々と話し、致命傷を与えた人間を唆している。
「俺は、此処に、いるぜ?」
ザクリ。
今度こそ地に伏せたルークの酷い有様にメンバーは例外なく目を逸らす。そして信じられないガイの台詞に耳を疑う。
「足りない…」
(満足か?)
ルークの台詞がこびりついて離れない。
「足りない…!」
再び持ち上がる血塗れの刀。
「ティア!」
ナタリアが矢を放ち一時的にガイの気を逸らす。その間にティアはガイから距離を取る。
その時だった。
どろりと空気が淀み、地を這う声音が響いたのは。
我が同位体を殺(あや)めしは、誰ぞ
震える身体を何とか動かし振り返る。そこにいたのは先程倒れた少年のオリジナル。
「アッシュ」
ガイの目が見開いた。
「聞いている。我が同位体を殺めしは誰ぞ、と」
「誰だって良いだろ。そんなことより、死んでくれ」
「ああわかったすぐに終わらせよう」
奇妙な会話が終わると何の前触れもなくアッシュがガイの手の平を刺した。
次は左の腕を、次は足、その次は腹を刺し地面に縫い留めていく。それでも痛覚が麻痺し抵抗してくるガイに今度は喉を潰し、一つ問う。
「満足か?」
ガイの中でアッシュとルークの台詞が重なった。
火事場の馬鹿力だろう、ガイが全ての杭を諸ともせずアッシュに一矢報いようと刃を振り上げ、そして。
「シグムント様によろしくお伝えください。ガイラルディア・ガラン」
ガイの首は宙を舞い、穴だらけの身体も崩れていく。
アッシュはルークに近づくと跪き、抱え上げた。
「大丈夫だルーク。今作り直してやるから」
不思議な光を纏うアッシュの腕を翳すと、ルークが失った血も肉も、服さえもアッシュが言う通りに直っていく。
「アッシュ、貴方一体何を…」
「お前らに言う必要は無い」
バッサリとティアを切り捨てたのはアッシュではなく回復したばかりのルーク。
「飽きたんだよ。もうさ、パターンが決まっててイレギュラーも無し。だから今度こそは、なんて止めたんだ」
服の埃を払いルークは暗く笑う。
「「我が同位体を殺めし者に、無限回帰の苦痛を与えん」」
まるでこの世にある全ての憎悪を集め溶かし込んだように悪寒を煽る台詞。
「お前たちも例外じゃねぇからな。シンクにラルゴ」
あまりの異常さに固まっていた二人が真っ青な顔で冷や汗を垂らす。
「…一旦引くよ!」
シンクがラルゴを殴って正気に戻すと脱兎の如く消えていった。
「次は誰が俺を殺してくれるんだろうな?」
ケタケタ、と無邪気に笑うルークが、無言で口許を吊り上げるアッシュが、どんなものよりも恐ろしい――ただそれだけが脳に刻まれた瞬間だった。
繰り返しの結果
(もう二度と大人しく殺されてなんかやらない)
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逆行を繰り返した二人の成れの果て。あくまでうちはアシュルクのつもりなんだがルクアシュに見える罠。