ノベル
□邪魔者を消し去ったのは
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病みアッシュ&洗脳ルーク第四弾
前置きとして最終決戦inエルドランド→二人で罠に→超振動でヴァンの所へ。
パーティは全員置き去りです。罠に嵌まって直ぐに(それこそ着地する前に)飛んだので。
微妙にティア厳しめ
ヴァン厳しめで死亡
主体→病みアシュ洗脳ルク
「よく来たアッシュ。さあ私と共に…」
「寝言は寝て言え、カス」
アッシュは眉間にシワを寄せ問答無用でヴァンの左腕を吹き飛ばす。
「アッシュを殺すのは俺。これだけは誰にも譲れない。だから師匠が大人しく死んでくれなきゃ困るんだ」
「お前たち…」
「失敗したな、ヴァン」
トントンと爪先を床に着け剣を手にルークは言う。
「今頃ティアたちが追っかけてきてるんだろうけど、待ってやる義理も義務もないしさ?」
「邪魔者は消す。退屈は御免だからな」
二人に応えるようにヴァンは剣を構えたが、片腕が無いためにバランスが悪く苦痛に表情も歪む。
「…この疎ましい力を、解放せねばならぬようだな」
そう言いローレライの力を解放したヴァンの人とは思えぬ回復力と、両腕の様相。やはりローレライの力は人の身に過ぎた力だということが見て取れる。
だが、所詮ローレライの力。同じ力なら二人とも既に会得している。
「どこまで持つか、見物だな」
アッシュが前に出て剣を構え、ルークが下がり呼吸を整える。
「まさか…」
「よそ見してる暇なんざねぇぞ!」
脳天目掛け勢いよく降ってきた刃を何とか防ぎ、衝撃を流す前に次が来る。速い上に重いアッシュの攻撃を防ぐのが精一杯で、ヴァンは反撃することができない。
その間にルークは紡いでいく。ローレライとユリアが交わした契約の歌――大譜歌を。
『――トゥエ レィ ズェ クロア リュオ トゥエ ズェ――』
「ぐ…」
大譜歌でできた隙を見逃さずアッシュはヴァンの胸部中央を狙い剣を突き立てた。
「ここまで、か…」
崩れ落ちたヴァンを愉快そうに見下ろすアッシュ。大譜歌を歌い終えたルークが横に並び何かに頷くと、笑う。
そこへやっと同行者たちが追いつき駆け寄ってくる。
「…兄さん!」
ヴァンの姿を見たティアが杖を放り出し抱き上げる。
わざと即死できる箇所を外したおかげでヴァンはまだ生きている。が、それも長くは持たない。変わり果てた兄を見てティアは二人を睨む。
「貴方たち…どうして!?」
やっと来たと思ったら今度は文句。つくづく役立たずな連中だと舌打ちの一つもしたくなる。
「役目は果たされた。貴様らには関係ないだろう?」
「関係ない、ですって?!」
「関係ないだろ。もう師匠も倒してローレライの解放も終わったし。ティアは何しに来たんだ?」
「…ローレライの解放が、終わった?」
間抜けた声を出したのは珍しくもネクロマンサー。
「ああ。だからティアがやることなんてもうないんだ」
ローレライはヴァンの体内にいたのだからアッシュが刺した剣――ローレライの鍵――で解放は済んでいる。
ただ目に見える現象ではないのでかなり地味に終わったが。
「あーあ、今日はもう疲れたから帰って茶でも飲もうぜアッシュ」
「テメェは何もしてねぇだろうが」
「ちゃんと超振動使えたし大譜歌だって歌えただろ?」
「貧弱劣化レプリカめ」
「言ってろ化け物傲慢オリジナル」
俺は疲れた。と連れ立って去っていく二人を止める者はいない。
何故なら物騒な会話をしながらも二人は笑顔だったし、何より今まで見てきた中で一番穏やかな雰囲気を纏う空間に他者が入る余地などありはしなかったからだ。
邪魔者がいなくなったところでお茶にしませんか。きっと今までで一番おいしいお茶をご用意致しますよ!
邪魔者を消し去ったのは
(君がそれを望んだから!)