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□強さを追い求めているのは
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病みアッシュ&洗脳ルーク第二弾(個人的に設定が気に入った模様)
アッシュの設定が好き勝手に改変されまくり
厳しめ要素は今回も無し

主体→病みアシュ洗脳ルク







殺さないと殺さないと殺さないと!

最近のルークはそればかり考えていた。

そうして人を殺す術を学習していくと案外人間という生き物は脆く弱いという事を知る。

しかしアッシュにそれが当て嵌まるかと言われれば答えはノー、今まで一度だってルークの作戦が成功したことはない。つまりまだアッシュは生きている。それも五体満足で声も光も失わずに。

どうしてかアッシュにはこちらの行動パターンというものがわかるらしく、軽くかわされてしまう。この前は毒を仕込んだがアッシュには効かず(バレていた上に致死量の二倍でも効かないとは何事か!)、闇討ちでも待ってましたと言わんばかりに応戦され返り討ちに(コンタミネーションできるなんて聞いてねぇ!)。揚句イライラして白昼堂々剣を振り上げたこともあったがそこは特務師団長足る実力の元に呆気なく敗北した(つまり正々堂々、なんて言葉は通用しなかった)。

結局のところアッシュはかなりしぶとかった。

半端な毒では耐性があり全く効かない。闇討ちも背中に目があるのかこちらの気配がバレバレ。剣技も十年という月日の差を見せ付けるかのように歯が立たない。

万策尽きたルークは面倒になって直接アッシュに聞くことにした。

「お前、俺に殺される気はあんのか?」

「あるに決まってる。今更何故そんなことを聞く?」

ルークが突き出したナイフを有り得ない力で弾き飛ばし(おかげでナイフが刺さった天井の一部が派手に破損した)アッシュは笑う。

「簡単にくたばったらおもしろくないだろうが」

「じゃあ教えてくれよ。アッシュはどうやったら俺に殺されてくれんだ?」

今度は刃に毒が塗ってある剣を交えながらルークはげっそりと呟いた。

「屑の足りない脳みそでよく考えるんだな。お前は魔物相手でもそうやって殺すのか?」

アッシュの剣がルークの剣を軽く真っ二つにして(新調したばかりだったのに!)戦う気力が削がれたルークは毎度の事ながら諦めることにする。

「容赦ねーな」

「当たり前だ。言ったはずだぞ、簡単に殺されてやらんと」

しかしルークは不思議で仕方ない。アッシュは自分が殺されるかもしれないのにとても楽しそうにルークの相手をする。まるで待ち侘びたと言わんばかりに毎度毎度剣を交え毒を浴び、そして笑う。それがまた来い、と言われているような気がして最近のルークは暇さえあればアッシュを殺しに行くことにしている。今回はルークたちもアッシュも同じ町に長期滞在する予定だったので、三日間同じ顔を見に来ていた。

「俺を飽きさせるな。死んでも良いなら話は別だが」

「それは困るって言ってんだろ、人の話を聞けよ」

折れた刃はそのままに柄を鞘に戻す。それなりに値の張る代物だったが役に立たなければ価値など無い。

(…あの日の俺と同じ。価値の無いモノに存在する意味は、無い)

いつの間にか優雅に茶を嗜んでいるアッシュを見据えルークは言う。

「…まだだ」

振り返りルークに視線を向けたアッシュは、やはり笑う。

「まだ、俺は強くなってみせる…!」

強く、と望むルークは既に並の兵士が十人束になろうと敵いはしない。だがアッシュに比べれば文字通り足元にも及ばない。

「待っている。お前が楽しませてくれる限り、俺は逃げも隠れもしねぇよ」

ルークに茶を勧めるアッシュは本当に楽しそうに笑っていて、ルークも大人しく席に着き勧められた茶に口をつける。最初こそ毒でも入っているのかと疑ったものだが、殺されることを望むアッシュがそんなことをする意味が無いと気づいてからは純粋に楽しむようになった、それ。

暗黙の了解で一度諦めたらその日は二度も襲撃はしない。理由は単純に疲れるから。

「そういえば明日って雨のスコアらしい」

「それがどうした」

「俺、雨嫌い」

「屑らしいな」

「どういう意味だ」

「言葉通りの意味だが?」

先程のやり取りなどどこ吹く風で穏やかに過ごす二人。

この二人の関係は友人でもなければ支え合う仲間でも、まして血を分けた家族ともまた違うという妙な関係が成り立っている。

敢えて言葉にするなら殺されたがるオリジナルと殺したがるレプリカ、けれど互いを憎むことも好むこともない。

しかしそんな関係も悪くない、と思っているのはどちらにも言えることであり、この関係を気に入りつつあることもまたどちらにも言えることであった。









強さを追い求めているのは
(君に会う理由になるから!)


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このアッシュは別に二週目とか逆行とかしてません。単純にスレて病んだローレライの同位体です。


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