ノベル2

□凶悪ワルツ
1ページ/3ページ


性悪導師様とスレたアッシュ。
突発的なものなのでどうしてこうなったのかはわかりませんが。

口が悪い&残酷表現あり。
どちらかといえば世界滅亡エンド。
世界は誰の為に在るかって? もちろん世界が二人の為にあるんでしょ? え、それ常識だから。というノリ。
今回導師様(被験者)はダイスと名乗ります(理由は後述)。
ダイス様が至極残酷。
アリエッタ贔屓。

場面がアクゼリュス崩落直前。
PT(特にティア、ナタリア。ルーク&アニスは死亡)、ヴァン死亡で厳しめ。
出てこないけど七番目とシンクも死亡。

主体→性悪導師&性悪アッシュ



上記全てを許せる方はこの後もお読みくださいませ。











絶望を通り越した先に、僕らは傍観を決め込んだ。理由はひとつ。

一度きりの人生を楽しみたい。

例え、世界を殺してでも。










凶悪ワルツ














鉱山の街、アクゼリュス。
ここで何も知らない、知る権利すらないレプリカを使い今まさに世界の柱が折れる。何もかもが計画通り。そして世界は呪いから解放される。今までの苦労が報われる時は近い。

そう思い込んでいるヴァンはレプリカに語りかけた。

「さあ…『愚かなレプリカルーク』。 力を…!?」

突如背後から来た殺気にヴァンは身を翻すことによって避けた。だが何も知らないレプリカに避けられるはずもなく…殺気の正体である、黒剣に貫かれ地へ沈んだ。

「これは…!」

見覚えのある剣に、まさか、と咄嗟に思い当たる節を否定するヴァン。すると突然響く拙い拍手。手を叩くのは先程魔力に弾かれ気を失ったはずの導師だった。

「お見事だよ、アッシュ。まさかあそこまで正確に抉るなんて…! おもしろかったからヴァンを仕留め損ねたのは許してあげる」

「俺は出来損ないを処分したまでだ。テメェにグダグダ言われる筋合いはねぇな」

言い返しながらアッシュはコンタミネーションで取り出した剣を佩き、仕留め損ねたものを見て眉間に皺を刻んだ。

「アッシュ! なぜ…」

「何故、ね。キミに知る権利はないよヴァン。理由はそこに血溜まりを作ってる汚い出来損ないと同じさ」

そう言って導師は譜銃を取り出し、問答無用でヴァンへ撃ち込む。一発目は腹、次が肩、足、腕、もう一発腹。それからヴァンが地面に倒れるまで…導師が飽きるまで、弾丸は続いた。

「自らを救世主と名乗る穢れし血。その傲慢たる行いを善行と嘯く非情。実に嘆かわしいねぇ、キミもそう思うだろ?」

ヴァンの近くまで来ていたアッシュは先程投げた黒剣を拾い上げて地核へ捨てる。それで仕留めた出来損ないは既に光となって消え、跡形もない。

「さぁな。それより、客だ」

導師が振り返ると騒がしく飛び込んでくるギャラリー。その中の一人が現状を見て喚き出す。

「導師イオン!? それにあれは…兄さん、なの?!」

駆け出す女を見て導師が上に一発、弾を放つ。

「それ以上近づかないでください。あなたたちの仕事はどうしたんですか?」

「ですが導師、兄が!」

「ヴァンは僕の部下です。その部下がミスをしたので責任を取ってもらったんですよ。それに対しあなたの意見を聞くことはありえません」

「兄が…兄が何をしたというのですか!!」

「…アッシュ」

疲れた声で導師が呼ぶ。するとアッシュが一瞬でティアの前に飛び、問答無用でその腕を切り落とした。一瞬後からの絶叫と、悲鳴。そのどちらも煩わしいと言わんばかりに憎悪を向けるアッシュは導師の横へと戻る。

「わ…私が何をしたというの!?」

「あなたもミスをしました。ダアトの最高権力者の前で、響長なんて塵ほどの価値もない地位の豚がよくもまぁ見苦しく口答えをしてくれましたね? その痛みは罰です。肝に銘じなさい」

「イ、イオン様…?」

いつもとは違う導師の様子に、導師守護役である少女の顔が引き攣る。その顔ににっこりとほほ笑んで導師は告げた。

「今までご苦労でしたね、アニス。僕の護衛を放棄してまであなたは一体何をしていたんでしょうか? …まぁ、あなたの知る導師など、道化師(にせもの)でしかなかったんですけどね」

不穏に笑う導師と、続く破裂音。アニスの小さな身体は地面に倒れ、徐々に赤く染まっていく。

「…アニス!? 導師イオン! あんまりですわ!」

「これはこれは、ナタリア王女ではありませんか。あなたは何故ここに? 親善大使であるルーク殿はどうしたんでしょうか」

「ルークは勝手に…!」

導師はにっこりと微笑んでナタリアを嗤う。

「ルークは勝手に、ね。貴女も勝手に国から飛び出してきたのでしょう? ルークを責める権利があると思っているんですか。そして、他国であるダアトの最高権力者に口をはさむ権利もないんですよ。わかりませんか?」

「私は民の為にここにいるのです!」

「民の為と言えば何でも許されると思っているんですね。では即刻国に帰りなさい。そしてお父様に聞いたらどうですか?」

「なにを…」

ナタリアの台詞はそれ以上続かず、巨大な鳥型の魔物が現れて導師とアッシュの前に足を折る。

「…お迎えにあがりました、ダイス様。そろそろお時間だと思ったのですが…」

困り顔のアリエッタにダイスは微笑む。

「ありがとうアリエッタ。話は終わっているので大丈夫ですよ。行きましょう」

アリエッタが降りて導師を先に乗せる。二人を乗せた魔物がそのまま羽ばたこうとして、青い軍服が吠えた。

「待ちなさい! まだ話は…」

足止めしようと譜術を放ったらしい…が、アッシュが相殺し、導師とアリエッタの邪魔をすることはない。

「あなたたちはそろそろ帰った方がいい。ここは崩落するとスコアに詠まれていますから」

導師が吐き捨て、二人が離脱したことを確認すると、アッシュは笑った。

「世界は滅ぶ。この街の崩落がその序章。テメェらはせいぜい手をこまねいて見ているといい」

「お前が一体何を知ってるんだ!」

ガイが叫ぶと同時に足元の崩落が始まる。ティアが苦し紛れに譜歌を歌うといい、この場にいる者が身を寄せ合う。

「世界の終末を知っているだけだ。人は生まれた時から死ぬことが決まっている。それと何も変わらない。テメェらに言ったところで理解できないだろうが…」

アッシュの台詞はティアの歌で掻き消され、台詞の途中で真上から岩石が落ち、直撃。そのまま成す術もなく崩落していく。

下を見ると毒の海に沈む人、岩、瓦礫――それらは今まで街と言われた、しかし今では残骸でしかないものだった。

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ