ブラックノベル

□ニセモノはどうあるべきか
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ナタリア厳しめ
ルークはかなり黒い、だけども純粋というか素直というか…七歳児です。本編開始前から自分がレプリカだって自覚してます
ファンダム2ネタバレ注意
偽姫事件真っ只中
例の如くアッシュがいません

主体→黒ルーク











約束を思い出せとねだる姫は身勝手にもこう言い放つ。

「最初に思い出す言葉があの約束なら運命的でしょう?」

と。

それはお前だけだ、と何度内心で思ったことか。いい加減にしろ、と怒鳴らない自分を褒めてもらいたいくらいだ。


◆◇◆


「おまえは亡き王妃様に仕えていた使用人シルヴィアの娘メリル!」

「…そ、それは本当ですの、ばあや」

「見苦しいよ、メリル。いい加減認めたらどうだ?」

「ルーク!?」

「俺は認めたぜ? 俺はレプリカで、偽物だって。なんでメリルは認めないんだ?」

本当にわからない、と首を傾げるルークに誰も答えることができない。

「それとも綺麗な過去ばかり見て汚い現実は見たくないのか?」

バカバカしい、と吐き捨てるルークはなにもかもどうでもよかった。

「お前はナタリアの偽物のメリル。それで良いだろ? それとも過去の約束が恋しいとか?」

「ルーク! 少しはナタリアの気持ちも…」

「メリル」

「え?」

「ナタリアじゃなくてメリルだろ? なあ、ティア」

まるで子供が物語の矛盾を見つけ、親に報告しているかのようにルークは言う。

「本物が見つかったんだから返してやれよメリル。ナタリアが可哀相だろ?」

「私は…」

「お前が大事にしてた約束なんて夢だったんだ、諦めろ」

良い夢が見れたと思えば悪くない。ルークは笑って止めを刺す。

「まあ、メリルがナタリア王女じゃないってのは十年以上前からずっとわかってたことだけどな!」

「…なんですって?!」

「当然だろ? フォニム検査した結果が王家の血どころか貴族の血も全く引いてない。考えられる可能性は一つじゃないか」

ルークの場合はフォニム振動数まで同じ完全同位体だったからこそ今まで誰もすり替えに気づけなかっただけでメリルはすぐにばれていた。知らぬは本人ばかりである。

「そういうわけだから、これからよろしく。ナタリアの偽物、メリル・オークランド」

ナタリア――基、メリルは、無邪気に差し出された手をただ呆然と見つめ返していた。







ニセモノはどうあるべきか
(考えたことがあるかい?)
111219


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