ブラックノベル

□その罪を自覚せよ
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ガイ厳しめ
ティア捏造(今回は断罪する側)
ティアがルークを拉致ってバチカルに帰ってきたところ

主体→捏造ティア









「奥様にも謝っていけよ」

「そうね。…そうする」

するとティアが杖を振り上げガイを殴り付ける。その際に物凄く痛そうな音がしたが、誰も反応しなかった。

「ティ、ア…?」

「馴れ馴れしく呼ばないで頂戴。この恥知らずが!」

見たこともないティアの、鬼の如き形相に言葉を失うガイ。

「ルーク様はね、私に慈悲を下さったの。だからガイ、私の為に消えて?」

先程とは打って変わり綺麗に笑うティア。しかし言っていることが何一つガイには理解できない。

「俺が何を…」

「ルーク様から話を聞いたわ。何様のつもりなの貴方。たかが使用人の分際で仕えている主人の家族気取りだなんて図々しいにも程があるんじゃないかしら」

「それはルークも、」

容赦なく再びガイを殴り付けたティア。理由は勿論主人を呼び捨てにしたからである。

「貴方を雇用しているのは公爵様よ。その公爵様が貴方を認めたの?」

ない話ではない。気に入った使用人を本当の家族として迎えることはよくある話だ。しかしそれは雇用主が認め許可している場合に限ったことであり、それ以外は間違いなくただの思い上がりに過ぎない。

「呆れたわガイ。そんなこともわからないなんて最低ね」

「…でも君だってルークを馬鹿にしてただろ?!」

懲りずにまた主人を呼び捨てたガイを今度は蹴り飛ばすティア。これが年上だなんて信じたくない、と心の底から思った瞬間だった。

「あれはすべてルーク様が望んだことよ。そんなことにも気づけなかったの?」

ルークが望んだ演技とはいえ、敬うべき人を馬鹿にし見下すことが心苦しいことに変わりない。何度ガイの見えないところで地面に頭を擦り付けルークに謝罪を繰り返したことか。今だって許可がなければ世間知らずの傲慢女を演じなければいけないというのに…。

「貴方が消えてくれれば私は兄を討つ時間がもらえるの。だから大人しく消えて頂戴」

自分がどれだけ罪深いことをしたか自覚しているティアに、ルークは慈悲として言うことを聞けるなら時間を与えると約束してくれた。罪を背負ってまで目的を達成しようとしたティアの覚悟は本物で、その後の刑を軽くすることはできないと言っても充分だときっぱり言い切り、礼を述べ頭を下げたティアにルークも約束は守ると言ってくれた。

「フェンデはガルディオスに仕えなければいけないみたいだけど、貴方みたいな人に下げる頭なんて無いわ。そんなことをするくらいなら死んだ方がマシだもの」

「ティア、ご苦労様。もういいよ」

ルークがファブレ公爵と話をつけてきたのだろう。特にガイの様子を気にすることもなく平然と話を続けた。

「わかったか罪人。お前は思い上がった反逆者。その死を以って償いとする」

「ルーク、お前、」

業を煮やしたティアがガイの手の平をナイフで突き刺す。不愉快な叫びはティアの「次は何処を刺そうかしら」という一言で止んだ。

「大丈夫だ。ペールも一緒だからな。寂しくはねぇだろ?」

後でヴァンもティアも追い掛けるってさ。あの世で仲良くやれよ?

そう言ってガイを見下ろすルークは、慈悲深き聖母のような笑みを浮かべていた。









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アッシュが消えた&リクエストに沿っていないということで書いたけどボツにした小話です。確かにガイには厳しいけどルークしか出てない!


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