キリリク

□22222
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◆22222番キリリク作品

リクエストは「マイソロネタより赤毛対ヴァン、厳しめなし」

というわけで上記に基づき

厳しめなし
マイソロネタより名前が本編組→ブラッド&クラウン、マイソロ組→ルーク&アッシュ
戦闘メイン


主体→クラウン











異世界の自分、ということであまり関わりを持たなかった赤毛たちに見兼ねた者が一言。

「お前たちの剣技は興味深い。ぜひ手合わせを願いたいのだが、どうだろうか」

ヴァンである。

「…こちらこそ、よろしくお願いします。グランツさん」

応えたクラウンは一瞬表情が強張ったが、笑顔で快諾。善は急げとその日のうちに闘技場を間借りして模擬試合をすることになった。







「ルールの確認だ。時間は無制限。譜術、秘奥義、アイテムの使用は禁止。レベル差のハンデとしてクラウンの装備は武器、防具ともに初期のものとし、両者同時に試合続行不可となった場合は引き分けとする」

審判であるブラッドが両者の前で説明している。急な試合だったというのに観客席はその半分が埋まり(手が空いているギルドのメンバーはアンジュから特別な許可をもらって来ていた)、もちろんヴァンの弟子であるルークとアッシュの二人も最前列で観戦している。

「準備はいいな?」

「ああ」

「もちろんだ」

両者の返事を聞いて、ブラッドは声を張った。

「始め!」

先に仕掛けたのはクラウンで先手必勝と言わんばかりに魔神拳を放ち、切り結ぶ。それから間を挟まずに特技、秘技と攻めていく。対してヴァンは持久戦狙いなのか、的確にクラウンの攻撃を防ぎまともに入った攻撃はない。隙をみては攻撃を仕掛けるも、クラウンが最小限の動きで避けている。

「魔王、絶炎煌!」

クラウンの持つ剣から炎が吹き出す。見越していたようにヴァンも技を放った。

「守護氷槍陣!」

一瞬で牙を剥く氷塊にクラウンが間合いを取る。

「光龍槍!」

上に跳ぶことで回避したクラウンは剣を両手で持ち勢いよく振り下ろす。

「岩斬滅砕陣!」

技名の通り、派手に地面が割れる。

「ほう、やはりお前たちの剣技は興味深いな」

「お褒めに与り光栄です、グランツさん」

ヴァンの振りかぶった剣を受け止めながらクラウンが答えた。上からの圧力に苦戦しながら何とか解き、試合開始前と同じ位置に戻る。

「腕慣らしはもう十分でしょう。…次からは本気で行きます」

クラウンの目の色が変わる。相手の出方、癖、力量を見るためにわざと軽く合わせて剣を振ることはよくあることだ。それが剣を教える立場なら尚のこと。クラウンはわかっていて何度か技を出していた。

「調子に乗るなぁ!」

オーバーリミッツから鋭招来、さらに仕掛けてきたヴァンの攻撃を粋護陣でガードし、ほぼ無効化する。

「守護方陣!」

間合いを詰めていたヴァンは全攻撃がヒットし、怯む。そこを見逃さずにクラウンが叩き込んだ。

「雷神剣!!」

腹部の衝撃と雷撃に耐え切れず、ヴァンが吹き飛ぶ。その際に手にしていた大剣が甲高い音を響かせて転がった。

「そこまで!」

審判であるブラッドがクラウンとヴァンの間に立つ。

「現時点でヴァン・グランツが試合続行不可能であると判断。よって勝者、クラウン!」

「待てよ! まだ師匠の負けじゃねぇ!」

観客席からルークが叫ぶ。居ても立ってもいられずルークはそのまま観客席を飛び降りブラッドに詰め寄った。

「師匠が"参った"って言わねぇってことはまだ…!」

「止しなさいルーク」

「でも…っ!」

立ち上がってきたヴァンがルークを宥める。その間にクラウンは飛んでいったヴァンの剣を拾い、ブラッドはヒーラーと何か話し込んでいた。

「お相手ありがとうございました。グランツさん」

ヴァンに頭を下げるクラウン。

「いや、クラウン殿も素晴らしい剣だった。良い腕を持っておられる。また手合わせ願えるだろうか?」

ヴァンが手を差し出す。答えながらクラウンは大剣を返した。

「…はい、俺で良ければ」

それ以上は言葉が続かなかった。異世界の別人とはいえ、一度でも憧れ、親しんだ人からの賛美。ヴァンが背を向けたことを良しとし、クラウンの目からは涙が零れる。

――やはり、ルークにとってヴァンは人生の大半を占める人であったことに違いない。できるならこの手にかけたくなかった人でもある。

しかしその思いを殺してヴァンを倒したのは、世界を救いたいという信念に他ならない。

乱暴に涙を拭い顔を上げた時、ほとんど人がいなくなった観客席から背を向ける影を見つけ、クラウンは改めて、彼らには自分たちのようになってほしくないと、願わずにはいられなかった。

→後書き&補足+反省会!

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