キリリク
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15000キリリク作品
リクエストは「ガイ、ティア、ヴァン厳しめ、六神将味方でルクアシュ」
というわけで上記に基づき
ヴァン(死亡)、ティア(死亡)、ガイに厳しい
六神将は贔屓
ルクアシュというよりルーク→アッシュ
場所はベルケンド
「来たようです」
バタバタと騒がしく駆け込んでくるアッシュ。
「待ちかねたぞアッシュ。私と共に新しい世界の…」
「断る」
刹那響く、一発の銃声。血に染まるヴァンと、不愉快なティアの悲鳴。
「教官!! どうして!?」
倒れたヴァンに駆け寄り必死で治癒術を施すティア。しかし致命傷となった傷は術を使っても塞がりはしない。
「お前のようなカスを手懐けるのは本当に骨が折れたよ、ティア」
「なっ…」
「おかげでコチラの計画は順調そのものだ」
柔く笑むリグレットにアッシュの声が飛ぶ。
「手筈は」
「全て、ご命令の通り。今はシンクとアリエッタが当たっております」
まるで数分前の兄と同じようにアッシュを扱うリグレットへティアが噛み付く。
「兄さんを裏切ったんですか、教官!」
睨むティアをまるで汚らわしい、と言わんばかりの視線で射抜くリグレット。
「…お前は知らないか、ティア。我が最愛の弟を見殺しにした男を、私が愛するとでも? そこに転がっている男は自分を殺せと私を副官にしたんだ。だからお望み通り殺してやった。文句はないだろう」
「そんな…でも教官は!」
縋り付くティアに、まるで価値の無いゴミを見るような視線を返すリグレット。
「これだからカスに説明するのは嫌になる…。全部お前を騙すための演技、お前を教育する良い教官を演じてやってたんだ!」
感謝してもらおうか、と吐き捨てるリグレット。信じていた教官のあんまりな行動にティアはヴァンの死体を抱え、ショックから虚ろな目で壊れた人形のように"嘘だ"と何度も何度も繰り返す。
「なーアッシュ、コイツ殺してもいいか?」
この騒ぎでも平然と剣を抜き、ガイの首に刃を突きつけるルーク。恐らくアッシュが部屋に駆け込んでからすぐ刃を構えたのだろう。でなければヴァンと顔見知りであるガイが先程の出来事を黙って見ているはずがない。
「殺すのは許すと同義だろう。腕か脚の一本にしておけ」
「了解」
アッシュの言葉通り躊躇いもなくガイの利き腕を落とすルーク。まさか本当に腕を切り落とされるなど夢にも思わなかったガイは激痛に呻く。
「俺が、何を…!」
無自覚なガイの台詞に切り落とされた腕を踏みつけるアッシュ。
「どんな大罪人でも自分は無罪だと主張したがる。疲れることこの上ないな」
アッシュの言葉にルークは頷く。
「あー嫌だ嫌だ。自己満の勘違いヤローはモテないぜ? ガイ」
ボキッとアッシュの足元で嫌な音が鳴る。
「使用人ゴッコはさぞ楽しかっただろう? ガルディオス伯爵家、ガイラルディア・ガラン。テメェの正体はファブレに来てから直ぐに割れていた。マルクトに問い合わせたらどんな返事が来たか、わかるか?」
困惑するガイに赤毛二人は笑い合う。
「『ガルディオスは既に滅びた』とさ! つまりお前は偽者なんだよガイラルディア」
痛みに耐えるため下を向いていたガイが、"偽者"と聞いて吠える。
「俺は偽者じゃない!」
「…例えそうだったとしても、証明されていなければ偽者と変わりない。こちらはマルクト皇帝のサインが入った返事をもらっている。もちろん厳重に保管してあるだろう。お前がマルクトに出向き皇帝陛下が認め、それを返上しない限りお前は滅びたガルディオスを名乗るただの不審者に過ぎん」
「そん、な…」
「お前の使用人ゴッコに付き合ってた俺、マジ良い奴じゃねー?」
笑い転げるルーク。ガイは真っ青な顔で言葉一つ口にしない。後から悔いるから後悔となる。今は後の祭りだが。
「アッシュ」
リグレットが呼び付ける。意味を理解したアッシュは舌打ちを一つ。
「…わかっている。もうココに用はない」
「用って?」
わかりきっていて、ルークは聞く。
「邪魔者の始末と、…お前を迎えに来た」