キリリク
□11000
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11000番キリリク作品
リクエストは「詠師会保護アッシュで厳しめ」
というわけで上記に基づき
オリキャラ(詠師)が出張ります
ヴァン(死亡)、モース、ナタリア、ジェイド他厳しめ
ルークは一応味方
アッシュの影が薄い上に、この話ではルークとして扱われてます。
世界滅亡ルート
主体→オリキャラ
アッシュは、ただひたすら暗闇の中を歩いていた。出口を探して彷徨い、慣れた闇の中でも恐怖心からか、早く、早くといつの間にか走り出していた。
キムラスカに帰らなければ。ただそれだけがアッシュの原動力だった。
ずっと闇の中にいたせいで、時間の感覚がなかった。辿り着いた「壁」に「ドア」がなく、あったと期待してもまた闇が広がる。いくつ「ドア」を開けたか覚えていない。ただひたすら「光」を求め、「ドア」に縋った。そのうちに「ドア」ではなく「扉」に気づき、開けると予想以上の「光」に耐えかね、
そこから先は、よく覚えていない。
◇
とある詠師は「午後から地下へ向かう」というスコアの意味を測りかねていた。
午後から、とは午後になったら直ぐなのか、午後になって手が空く時間がきたら、という意味なのか。まさかダアトの詠師という職に就こう者が、周りにスコアの解釈を相談するわけにもいかず…。スコアとは指針でありながら、こうして曖昧なものも多い。しかし考えてみれば今日の午後は12時間もある。特に指定がないのであれば、自分が決めた時間でよかろう、と解釈し、時計を見ると丁度午前が終わる数分前となっていた。詠師は迷うことなく地下へ続く廊下を進んでいく。古く、今では老朽化の問題もありあまり使われることの無くなった地下。そこにどんなものがあるのか、詠師は知らなかった。進んでいくうち、何か様子がおかしいことに気づく。危険だ、と思った時には一瞬だけ光が溢れ、次の瞬間には轟音と共に壁と床が破壊されていく。その様はまるで映画のワンシーン。呆然と立ち竦む詠師に、声が届いた。
『貴方は、スコアに導かれし者ですね』
「!」
詠師は言葉を理解する余裕がなかった。そんなことよりも、目の前にある光景が信じられなかった。
轟音と共に破壊されていた壁や床が、見る見る元の姿に戻っていく。その瓦礫が残る場所に倒れている子供を見つけ、駆け寄っていく。
『触れてはいけません。まだ、落ち着いていない』
詠師は理解できず、声を振り返る。思わず叫びそうになり、笑われた衝撃で我に返る。
『私はウンディーネ。貴方はスコアに導かれし者ですね』
「この、子供は」
『それが貴方の役目。この子を保護してほしいのです』
「何故」
スコアは地下へ向かう、としか詠まれなかった。子供の保護は詠まれていない。
『この子は道(スコア)を外してしまったから。貴方に、修復をお願いしたいのです』
事情を聞いた詠師は首を縦に振った。満足げに笑うウンディーネ。
気を失ったままの子供はしっかりと剣を握り締め、放そうとしなかった。
◇
ヴァンは焦っていた。何故こんなことになった? と。
キムラスカがヴァンの首を要求してきた。理由はもちろん、次期国王候補であった「ルーク」を誘拐した罪だ。だが何故バレた? 身代わり人形は置いてきた筈だ。誘拐に関わった者も今では亡き者となっている為、情報が漏れる筈もない。ならば何故、しかも事件から7年経っている今なのか。最初こそヴァンは自身のレプリカを身代わりに使おうと思っていたが、死んだ後乖離していしまうレプリカは代用品にならない。影武者を使うか。しかし、今から間に合うかどうか…。
「私は今死ぬわけにはいかん…」
「しかし、スコアは嘘を導きません。貴方はスコアに導かれたのですよ、ヴァン。…いいえ、栄光を掴む者!」
いつの間にか背後に立つ詠師。その瞳は使命感に満ちていたが、ヴァンは見下すばかり。
「スコアなど下らん。そんなものが蔓延っていては世界を腐らせるだけだ!」
「言い訳は見苦しいですよ主席総長殿。大人しく来てもらいましょう」
スラリと剣を抜くヴァンに対し詠師は杖を構えた。その杖には七色の宝石が輝いている。
「逃がしませんよ?」
いつしか精霊使い(エレメントマスター)の異名を付けられた詠師が、杖の柄を握りこむ。その頭に浮かぶのは、純粋な殺意。ただそれだけだった。