キリリク
□9000
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9000番キリリク作品
リクエストは「赤毛三兄弟でキムラスカ常識化(ナタリア除く)、ジェイド除外で厳しめ」
というわけで上記に基づき
長男アッシュ(アシュタット)、次男ルーク(親善大使、ヴェルーゼム)、三男レプリカ(短髪で若干幼い感じ、ルキフィガス)でみんな仲良し
キムラスカ常識化
ジェイド贔屓
PT(特にティア、ナタリア)、ヴァン厳しめ
イオンがいない
場面はアクゼリュス
「さあ愚かなレプリカルーク、力を解放せよ!」
自信満々に言い放つヴァンを冷たく見返しながらルークはくっだらねぇ、と呟いた。
「何してんのカス」
両手を頭の後ろで組んだルークの言う通り、何も起こらない。愚かなレプリカ? 力を解放? なんのことですか、一体それは。
「ヴェル!」
ルークは駆け込んできた紅を認めて驚きに目を見開く。
「兄貴!? 何で…」
ここに。そう続く言葉は大地の唸りに消えていく。地震のせいでなにもできないままパッセージリングが砕け散り、あっという間に大地が割れ、アクゼリュスは崩落した。
その間にヴァンはグリフィンで逃走。かろうじで生き残ることができた一行はタルタロスに乗り込み、ティアの案内でユリアシティへ向かうことになった。
「それで、なんでアクゼリュスが崩落したの」
一通りクリフォトの説明が終わってアニスがティアに聞いた。
「兄さんよ。ルークが兄に騙されてパッセージリングを消してしまったから…」
ティアの発言で注目を浴びた本人は欠伸を噛み殺し、あーめんどくせぇ、と後頭部を掻いていた。
「おっさん、説明ヨロシク」
「はい。ヴェルーゼム様」
ジェイドはルークと一行の間に立ち、メガネの位置を直して淡々と語った。
「まず、アクゼリュスの崩落はヴェルーゼム様の兄に当たるアシュタット様が超振動で住人全員を救出した後に耐用年数超過が原因で自然崩落しました。キムラスカ、マルクト両国で調査していた結果ですので間違いありません。…そもそもヴェルーゼム様はアシュタット様の実弟で、特異体質ではありませんから元々超振動など使えませんが…」
「嘘よ! ルークは兄と一緒にいたじゃない!」
「だから自然崩落だっつーの! 証拠もあんだよ、此処に!」
ヴェルーゼムが自分のピアスを外して見せる。
「これが映像記録装置になってんだ。解析するまでわかんねぇけど、俺がなにもしてないってことは証明できる!」
「同時にヴァンがなにを企んでいたかがわかります。いずれにせよキムラスカで指定手配されますが」
「兄が何をしたっていうの!」
噛みつくティアの疑問はこの場にないはずの声が答えた。
「キムラスカ王族誘拐、職権乱用による和平妨害、禁じられた生体レプリカの作成。…他にもあるが大体はこんなもんだろう。立派な大罪人じゃねぇか。ユリアの血縁も堕ちたな」
「兄貴! どこ行ってたんだよ!」
心配したんだぜ、とアシュタットへ駆け寄るヴェルーゼムに、礼を取るジェイド。挨拶もそこそこにアシュタットはティアを見て口元を吊り上げた。
「お前も共犯の疑いありとして捕縛命令が出ているんだがな…」
「私と兄は無関係よ!!」
「他にも単独でキムラスカ王族暗殺未遂、及び誘拐の罪が問われている。立派な犯罪だろうが!」
「言い掛かりは止して頂戴! 私にそんな罪…」
「暗殺未遂はユリアの譜歌まで使いそんな目的じゃなかったと主張し謝罪さえない。誘拐は言葉だけの謝罪と同じく事故だと主張。それで罪が赦されるとでも思ってるのか? 誰が赦すと言った。お前は贖罪をなんだと思ってやがる」
アクゼリュスの民を見殺しにしたと見做されたティアの行動はヴェルーゼムの記録装置に残っていることだろう。本当に兄共々救いようがない。未だ喚くティアを一撃で床へ沈めたアシュタットはジェイドに目配せした。
「あとはスパイ容疑でフォンマスターガーディアン、王族暗殺未遂と共犯の疑いありで公爵家子息付使用人の捕縛命令が出てるな」
「えっ」
「な…」
譜術と体術で二人を同時に拘束するジェイド。
「おっさんナイス!」
手際の良さに思わず口笛を吹くヴェルーゼム。やはり優秀な人間は違うな、と改めて感心した。
「ついでに襲撃犯も頼む」
「わかりました」
ジェイドがティアに取り掛かっている間、アシュタットが書状を広げてアニスとガイの前に掲げた。
「マルクト皇帝陛下からのものだ。スパイはマルクトに多大な損害を与え、使用人は…まあいいか」
説明が面倒になり書状をジェイドに渡すアシュタット。どの道この二人が行く先は断頭台に変わりない。他人の命を奪い、奪おうとした罪はそれほどまでに重い。特に使用人として働かせていたガイはヴァンを泳がせるための餌としてファブレで飼っていたに過ぎない。用済みとなった今、ペールと共にマルクトへ送り返すことになったのだが、ジェイドからの報告を聞いている賢帝が彼らを許すはずがない。アニスに至っては賢帝の懐刀であるジェイドの部下を殺す手伝いをした張本人。まず許さないだろうことはわかりきっていた。