キリリク

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7777番キリリク作品

リクエストは「ネタの音譜帯ライフなアッシュで集合体との絡み」

というわけで上記に基づき

厳しめなし(但しローレライの扱いがが不憫)
出てくるのは主にシルフ、ウンディーネ、と、シャドウ
アッシュがかなり丸くなり、白くなりました












「ねーアッシュ、次はこれやろー?」

真新しい箱を抱えてシルフが提案している。アッシュは今目が離せないのか、唸りながら顔を上げた。

「…ちょっと待てシルフ、こっちがまだ終わってないだろう!」

アッシュの手元には未完成のジグソーパズルがあり、あともう少しで完成、というところまできていた。

「だから次だよつ、ぎ! …いーでしょアッシュー」

シルフがしょんぼりとおねだりすると、アッシュはため息一つ吐いて視線を寄越す。

「…仕方ねぇな」

「ありがとーアッシュ!」

満面の笑みでシルフが跳ね、危うくパズルをひっくり返しそうになり冷や汗をかく二人。

どうやら今回はセーフだったらしく(アウトだった時は、それはもう盛大にアッシュが無言で落ち込み、シルフの表情が悲惨である)、アッシュが怒鳴りシルフは軽く謝って、また仲良くパズルに取り掛かる。



…そんな端から見れば微笑ましい光景を、邪念たっぷりで見つめる姿が一つ。

(…またやってるわ、ローレライ)

陰でハンカチを噛み締め、今にもキィー! と叫びそうな勢いで引っ張っているローレライ。いい加減クセになるから止めろ、と何度忠告しても直らないそれはもはや日課となりつつある。

これで何枚ハンカチを無駄にしたのかアッシュに言い付けてやろうと思うのだが、これ以上ネガティブオーラを振り撒かれては堪らない、と実行したことはない。

そうしている間にもパズルは完成したらしく、手慣れたシルフが額に飾る。満足げに笑うと、次! と約束していたものを広げ出した。

「えーっとね、これは…」

「知恵の輪?」

「あ、そうそう。なんかいっぱいあるでしょ? 繋がってるやつはバラバラにして、バラバラになってるやつは繋げられるんだって」

説明書を広げて読んでいたシルフは畳み直し、箱へ戻す。

「無理だろ」

形状からして無理があるものを一つ摘んだアッシュが断言した。

「そこは知恵でどうにかなるんだよ…たぶん」

箱から繋がってるものを一つ取り出したシルフも首を傾げながら取り掛かる。段々夢中になってきて、あーじゃない、こうじゃないか、いやいや、やっぱり無理だ! などの声が聞こえてくる。

ちなみに今イフリート、レム、シャドウはアッシュの為に見よう見真似で食事の用意をしている最中である。既に肉体を無くしているアッシュだが、昔の名残で未だ空腹を訴えることがあり、彼らが腕を振るっている。アッシュが音譜帯の環境に慣れるまでは彼らが交代で作ることになっていた。

「…もー! やっぱ無理! こんなのできない!!」

「あっ投げるんじゃねぇシルフ!」

ポーイと綺麗な放物線を描いて投げられた知恵の輪は、ペチッと痛そうな音がしてローレライの額から手へ落ちる。

「あっローレライ。いたの? …ていうか仕事は?」

まさかサボりじゃないよね? とシルフが黒い笑みを称える。

「まあ一応休憩時間だからサボりじゃないわよ。そこはレムが煩いし」

「ウンディーネ?」

「…あと3分で持ち場に戻るわ」

実に不憫だ。やっと愛しのアッシュと話せるチャンスが3分。しかしシルフという強敵がいる中、会話が成立する確率はかなり低い。どうする、ローレライ!

ハラハラとウンディーネが見守る中、突然アッシュがリターンし、結局ローレライと何も話さないまま向こう側でこれで合うはずだ…! という声が聞こえた。

それは予想を違わずピッタリだったようで、後から追い掛けて行ったシルフと二人で喜んでいる。

「…ローレライ、」

何かを言いかけたウンディーネを遮り、ピピピ、と可愛らしい音が鳴る。どうやら持ち場へ戻る時間になってしまったらしい。

「……」

知恵の輪を握り締めたまま無言で持ち場に戻るローレライの後ろ姿は、今日もまた一段と落ち込んでいるように見えた。

それを知ってか知らずか、今度は通り掛かったシャドウも交え三人で知恵の輪に取り掛かるアッシュ。

シャドウは得意らしく、慣れたもので上手く手元を隠しながら金属の輪を繋げたり離したりして見せ、負けず嫌いなシルフが絶対に解いてみせる! と頭を捻っていた。


その後アッシュがローレライを気にかけたのは当分先の話だったという。


→後書き&補足+反省会!

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