キリリク

□5500
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5500番キリリク作品

リクエストは「オリキャラ有でインゴベルト、ナタリア、ガイ、ルーク厳しめ」

というわけで上記に基づき

オリキャラ(男)が出てきてかなり出張ります(アッシュ至上で幼馴染みという設定)
インゴベルト、ガイ、ナタリア、ルーク厳しめで死亡
おまけにダアトとイオン、最後はマルクトにも若干厳しい
公爵夫妻は贔屓
アッシュがアッシュとしてではなくルークとして出てきます


主体→オリキャラ












「はじめまして、ルーク様。私は――」

あの日の出会いが仕組まれたものだとしても、私は神に感謝せずにはいられなかった。

その名の通り、私に光を与えて下さった貴方にお会いできたのですから。











「何だ、コレは」

彼の、誘拐され戻ってきたルークを見るなりの開口一番はそれだった。見つかったルーク様です、という他人の言葉は彼の耳に入らない。

何だコレは。

何だコレは何だコレは何だコレは何だコレは何だコレは何だコレは何だコレは何だコレは何だコレは何だコレは何だコレは何だコレは何だコレは何だコレは何だコレは何だコレは何だコレは何だコレは?


我が主と認めた人の、カケラすら無いコレは、姿形だけ似せた紛い物。

連れ去られた我が光は何処に戻ったというのか?

「ジリス様、ルーク様を…」

「ルーク様、だと? ふざけたことを抜かすな! 貴様らにはコレがルーク様に見えるのか?!」

か細い使用人の声が彼の逆鱗に触れ、怒りに任せた叫びは更なる困惑を呼び、騒がしくなっていく。

「お前は誰だ? 答えろ!!」

掴み掛かる彼に、当人は顔を強張らせ、泣き出してしまう。まるで馬鹿にされているかのような有様に、彼は手を振り上げ――

「お止めなさいジリス。いくら貴方でもやり過ぎです。…貴女はルークをお願い」

――止められる。病弱とは思えないほど強く握られた手首が軋んだ。

「シュザンヌ様…しかし!」

「貴方にはお話があります。後で部屋まで来るように」

貴色を持つ王族の言葉は、重い。貴族の端くれでしかないジリスに拒否権は無かった。

しかし向かった部屋で聞かされた話に、ジリスは自分の目が正しかったことを知る。

「貴方も気づいたのですね? 流石です」

「シュザンヌ様…?」

「あのルークは我が子ではありません。そのくらい、病弱な私にだって判ります」

「では、ルーク様は何処に!?」

シュザンヌが窓の外へ視線を向け、一度ゆっくりと目を閉じ、そして開く。

「…それを貴方に頼みたいのです。貴方なら我が子であるルークを見つけることができる。他の者では無理でしょう」

その前に、と今度はクリムゾンが話し出す。

「あの子供は生かしておく。記憶が無い、誘拐犯が差し向けた子供ならどうなろうと構わないのだろう」

ジリスは先程の様子を思い浮かべ、思わず顔が歪んだ。

「理由をお聞きしても?」

「ダアトにはクローズドスコアという特別なスコアがある。そこにルークの死を詠んだものがあるのだ」

「どういう事ですか…? ルーク様は次期キムラスカ王では…!」

クリムゾンは何かに耐えるような表情で続ける。

「それは表向きの話だ。事実、裏では将来お前が王になるよう采配されている。ナタリア姫との婚約もその一環に過ぎん」

「では…では、本当なのですか…? 何故そうまでしてルーク様を!?」

ルークは稀に見る貴色を持った若者。王族でも赤髪と翠眼を兼ねて持つ者は少ない。さらに男児であり、女児より優位な立場にある。そんな人材をむざむざ捨てるならば、相応の見返りがなければ釣り合わない。

「ルークの死を糧とし、国の繁栄が手に入るからだ。王はスコアを信じ、ルークを…」

手渡された資料に目を走らせるジリス。それは第六譜石に詠まれているスコアの写しだった。

「だからこそ、あの子供を身代わりにするのですよ。ジリス」

あまりの事に放心していたジリスはシュザンヌの静かな声で我に返る。

「我が子には特別な力があります。誘拐犯の目的はそれに違いありません」

「ローレライの力…」

ジリスの呟きに二人は頷く。

「我が子を頼みましたよ。必要な物は用意させました」

大きめな荷物を手渡し、先ずはベルケンドの別荘へ行くように指示するクリムゾン。

「表立ったことはできないが、私たちもできる限りの協力をしよう。後でお前に情報を届けるよう手配しておいた」

荷物を受け取ったジリスは、その場で跪く。

「ジリシルナ・シャルヴェリザ、この身に代えましても必ずやルーク様を連れ帰ることをお約束致します」

「無理はするな。お前がいなければルークが悲しむ」

「いつの日かまた、四人でお茶をしましょう」

ジリスは二人に最敬礼をすると、その姿を眩ませた。



後日、ルーク付きの使用人が一人解雇された。理由は様々な噂となったが、結局真実を知る者はいなかった。その代わりにセシルを名乗る使用人がスコアの定めによりルーク付きとなる。

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