キリリク

□4900
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4900番キリリク作品

リクエストは「黒部屋のインゴベルトがスコア盲信者ネタでティア厳しめ」

というわけで上記に基づき

ティア厳しめ
インゴベルトがキチガイ級のスコア信者
ルークが黒い

場面がマルクトから帰還後の謁見の間にて













扉の向こうからごちゃごちゃと話し声が聞こえてくる。時折荒っぽくなることから、冷静に話し合っているわけではないようだ。

ルークが兵士と話をつけて扉が開いてからも様子は変わらず、音量が小さいので内容を明確に聞き取ることはできなかった。王と話す為に進んでいくと、機嫌の悪いモースが話を切り上げルークたちを怒鳴りつける。

「無礼者! 誰の許しを得て謁見の間に…」

「うるせぇ! 伯父上に決まってるだろブタ野郎!」

「な…!」

まさか目の前にいる人物の許可とは思わなかったのだろうモースがうろたえる。続いて言い訳でもするつもりなのか、台詞にならない音を出し続けているモースにインゴベルトが一喝した。

「黙れモース。その方はルークだな? シュザンヌの息子の…」

「そうです、陛下。お見苦しいところを失礼しました」

「よい、許す。よく無事にマルクトから戻ってきてくれた」

「この身に過ぎるお言葉でございます」

「話は聞いている。するとそこにいるのが…」

一瞬鋭くなったインゴベルトの視線に頷いてルークは続ける。

「先に書面で報告致しましたティア・グランツ、そしてこちらが導師イオンとマルクト軍のカーティス大佐です」

そうか、と頷いたインゴベルトはイオンの口が開くより先にモースへ問いかけた。

「モースよ。ここにはダアトの最高責任者である導師イオンが居られる。これで話は必要なかろう?」

「しかし、ですな陛下…」

しどろもどろになるモースにイオンが不思議そうな表情で問いかけた。

「どうしたというのですか? モース。僕に関係のあることなのでしょうか」

イオンの疑問にインゴベルトは笑う。

「何、導師様にとっては容易いことです。私はこれまでスコアに忠実に生きてきました。朝起きてから夜寝るその時までスコアに従い、口に入れるものから身に纏うものまで全てスコアに従い、妻の死さえスコアに詠まれていたと知り従ってきました」

一瞬空気が凍ったが、インゴベルトは構わず続ける。

「ですから、今回あったルークの誘拐事件もスコアに詠まれているのか確かめていただきたいのです、導師」

残念ながらモースはスコアラーではありませんし、今バチカルにいるスコアラーは全て出払っているらしいのです、とインゴベルトの言葉が続く。ここにきてモースの顔色は徐々に青から白へ変わっていく。

「勿論モースは詠まれていると言うのですが、譜石(証拠)がありません。導師様が詠んだものならば譜石が残るはずですし、私はそれを確認したいだけなのです」

「なるほど…事情はわかりました。後ほど僕がスコアを詠みましょう」

「導師イオン!」

モースが叫ぶが、時既に遅し。イオンはわけがわからない、と首を傾げた。

「モース、話は後にしましょう。…陛下、こちらがピオニー陛下の名代、ジェイド・カーティス大佐です」

「御前を失礼いたします。我が君主より、偉大なるインゴベルト陛下に親書を預かって参りました」

親書が側近に手渡されるのを淡々と目の端で見ながら、インゴベルトがモースに言う。

「モースよ。もし貴殿が申したことが全て偽りであった時にどうなるか…覚悟はできておろうな?」

「いいえ、もしなどありませんよ陛下。偽りなどありませんからな!」

虚勢を張るモースにクスクスと笑いながらルークは回線でアッシュに報告していた。

既にスコアを偽り欺いたことがバレてヴァンは始末され、この世にいないというのに。そしてヴァンを頼りにしているモースも、実妹であるティアも、スコア第一であるインゴベルトは見限っていた。

(これからどうなるか、賭けないか? アッシュ)

無邪気に黒い提案をするルークにアッシュは快く頷いた。

(モースはティアを庇うだろうし、でも共倒れになると思うぜ、俺は)

(…以前より融通が聞くとはいえスコア第一は変わってねぇんだろ。だったら導師も含めて首三つが飛ぶんじゃねぇか)

(イオンは関係なくね?)

(導師の死は詠まれていた。妻の死を知り殺した男が許すとは思えん)

(ふーん…じゃあアッシュが負けたら断髪な!)

(お前が負けたら利き腕を直せよ)

そこまでアッシュと話し終えてようやく話がまとまったらしい。

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