キリリク
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1200キリリク作品
リクエストは「アッシュと被験者イオンの仲が良く共に黒く、予言ありきの世界に反逆を」
というわけで上記に基づき
オリジナル設定の被験者イオン様ご登場(名前はソラス)
イオン片目(理由は小話にて)
シンク下僕(同上)
アッシュは声が出ないアッシュネタより、2番のアッシュが出てきます(黒ライガも出てきます)
残酷表現あり
若干シンクに厳しめっぽくなりました
主体→黒緑っ子
ダアトがある日突然スコアの詠み上げを禁じた。ただ禁じただけならいい。どんな方法を使おうと、スコアラーがいればスコアが手に入るからだ。しかしスコアラーは困惑するばかりで民衆にスコアを与えない。つまり、スコアラーがスコアを詠めなくなったのでダアトはスコアの詠み上げを禁じざるを得なかったということ。
唯一譜石を保管してあるダアトにはたくさんの人が押し寄せた。スコアを求める人々で埋め尽くされるダアト。しかしスコアが詠めなくなった原因がわからない以上、解決策もなく、また民衆が求めるような事細かなスコアなど誰も知ることが出来ない。
そしてそれは最高権力者である導師も例外ではなかった。
そんな混乱した最中、とある噂が流れ出す。それは満月の夜、人目につかない時間帯。ダアト大教会の大広間にて迷える私たちを導いて下さる方が現れるらしい、と。
勿論今の教会はどの街も閉鎖されており簡単に入ることなどできやしないし、そもそも噂など信用するに値しない。そう考える者が多い中、やはりどうしてもスコアが欲しいと願う者は藁にも縋る思いで噂を信じ満月の夜に大教会の大広間を目指した。
そこから帰ってきた者などいないというのに。
◆
満月の夜。ダアト大教会、大広間。
そこにはスコアを求め集まった信者たちが大勢、“迷える私たちを導いて下さる方”の登場を今か今かと待ち侘びていた。
耳障りな音が盛大に響き、巨大な扉の奥から現れる華奢な影。
「おやおや、皆さん。お久しぶりですね」
大広間に集まった面々を眺め、眼帯をした導師はいつもの定位置へ足を運び、向き直る。
「導師様…!」
やはりあなたが、何故スコアが、スコアを、導師様、我らに…!
導師は手に持っていた杖の底辺を床に叩きつけることで一斉に口を開いた信者たちを黙らせ、近くにいた者を代表として用件を聞く。
「貴方たちは何を望みますか」
「スコアを。私たちが生きていく為の道標を…!」
再びざわつく大広間に、導師は口許を吊り上げた。
「良いでしょう。よくお聞きなさい」
導師は笑みを深くした。
「貴方たちはこれから死ぬ。それが私から貴方たちに贈る、最後のスコアです」
うそよ! と甲高い声が民衆の後方から叫んだ。
「死のスコアは詠まれない。詠んではいけないものだとスコアラーだった私の弟が言っていたもの!!」
「そうですね、"ダアトの導師なら"死のスコアなど詠みません」
「導師、様?」
カツン、と足音が響き、振り返ると緑髪の仮面が佇んでいた。
「今の導師様のスコアを聞いたかい? お前たちはここで死ぬんだよ」
仮面が腕を横に滑らせると、先ほど発言した者たちの首が飛ぶ。
「何を…!」
「まだ気づかないのですか? 本物と偽物の区別もつかないなんて、最低ですね皆さん」
眼帯をした導師は笑いながら階下へ下りていく。
「導きがほしいと言ったから、与えたんです。死というスコアを。黄泉へ導くために、ね」
「…!」
我が身可愛さに逃げ出そうと走り出した信者は出口に向かうが、辿り着く前に首が無くなる。
「…逃がしはしない。道標(スコア)の無い世界で、生きていけないのだろう?」
…だったら死ねばいいじゃないか。
感情の無い機械的な声で呟いた男はライガを従え、その牙と爪は余すところなく大広間を蹂躙する。