師団長
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とある日常のひとこま的な
「まだ師団長ゴッコか、アッシュ」
ヴァンの発言に機嫌が直滑降で下がった二人は許可が無いにも関わらず得物を構え突き刺した。
某日の師団長
その日は遂に教団の仕事が溜まっていると命令で呼び出され、仕事をこなすために執務室へ向かっている途中で出くわしたものが悪かった。
「アッシュ師団長ならすぐですよね〜このミシェルが手伝わなくても…」
「逃げるのか? ミシェル」
ギクリとわかりやすく肩を揺らし、そ、そんな事ありませんよ〜と言いながら明後日の方向を向いていては説得力など皆無だ。
「師団長、大丈夫です。私がいるじゃありませんか」
ねぇ? とニコニコしているギィに嘆息するアッシュ。
「お前は特務でもなんでもないからな…任せたくても任せられん」
「とても残念です」
とても、を強調したギィの、その清々しい笑顔が憎い。今アッシュとミシェルの心は一つだった。
…と、入り組んだ教団内部で思いがけない人物を見かけた。反対側から歩いてくる、見間違いようもない目立つあの制服は。
「ヴァン…」
隠れてやり過ごそうにも隠れられそうな柱も、この廊下には扉もない。あれこれ考えていると向こうもこちらに気づいたらしく、薄く笑んで足早に向かってきた。
「まだ師団長ゴッコか、アッシュ」
ヴァンの発言に機嫌が直滑降で下がった二人は許可が無いにも関わらず得物を構え突き刺した。
…ギリギリヴァンに当たらぬよう、壁と床に。
「黙れヒゲ。誰に向かって口利いてんだ?」
「右に同じ。井の中の蛙が偉そうに…ねぇ?」
ボコリと床から引き抜いた爪が巨大な穴を穿ち、廊下の基礎を剥き出しにしていた。
同じく壁から引き抜かれたナイフが刺さった場所は未だに嫌な音を立て熔け出している。
「「我らが師団長を愚弄するか、ヴァンデスデルカ」」
ユラリ、と立ち上がり得物を構え直す二人。まずはミシェルが腕を振り上げ勢いよく叩き付けようと――
「止めろ」
静かな制止に空気が変わる。
「何故ですか、アッシュ師団長」
指示通り叩きつける寸前で止めた状態のままミシェルが問う。その顔には不満です。と大きく書かれていた。
「そいつにはそいつに似合いな最期がある。俺達が関わる必要はない」
「…仰せのままに」
ミシェルは爪を引きギィも同じく武器を収めた。
「ヴァン。これが俺の自慢の部下だ。とても優秀だろう?」
許可が無ければ決して望まないことをしない。命令は絶対。裏切りなど有り得ない。
「俺はもうお前の部下じゃねぇ。間違えてくれるなよ」
ここで争う気のないアッシュはヴァンを残し目的地へと向かう。
後ろには優秀な部下を引き連れて。
某日の師団長
(ヒゲ。殺す。潰す。殺す。潰す…)(何してるんですか)(花占いだよ〜)(物騒ですね)(まあヒゲだし〜、…今度から薄らハゲにしようかな?)(!)
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ここまでで矛盾が出てきたので補足
@教団≠騎士団、なのに溜まってるのは教団の仕事で特務(騎士団)が関係している
→引継的な仕事だと思ってください(時間軸が外殻大地降下後なのでアッシュは特務から外されてます)
A特務から外されてるのに師団長→アリスの師団長なので問題無し(但し裏の師団なので一般は知らない)、ミシェルとギィは対外的に誰が何と言おうとアッシュを師団長と呼ぶと宣言している
→これに対しヴァンはアッシュを馬鹿にしたのです(師団長ではないのに師団長気取りか的な)
Bツクヨミが裏の支配者であることを知っているのはアッシュ以下アリスに所属する者たちのみ(ヴァン、モースは知らない)