師団長

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ダアト教会内のどこか
新キャラ登場
師団長というより無慈悲なる女王陛下がメイン







「なにかご用ですか、導師ツクヨミ」

「女王陛下直々とは珍しいですね」

ツクヨミの台詞に白々しい、と女王は舌を打つ。さして気にした風でもなくツクヨミは紙束を放り続けた。

「"アリス"に勅命だ。害虫共を殲滅しろ」

「…書面にそんなことは一切書かれていませんが」

放られた紙束にザッと目を通した女王が言う。ツクヨミはつまらなさそうに椅子の背もたれに重心を掛けた。

「だって飽きるだろ? 毎回毎回…こっちは忙しいんだから相手にしてられないよ」

書面にある任務は要人護衛。だが要人を狙ってくる相手はおそらく前回と同じだろう。…ひとつ問題があるとすれば護衛対象がこのツクヨミであることくらいだ。

「闇の支配者の名が泣きますよ」

「泣かせておけば良い。僕は害虫が大嫌いなんだ」

ツクヨミの目が暗く光る。察した女王は部下を招く。

「チェシャ。ビル」

「お呼びですか、無慈悲なる女王陛下」

「久々に"アリスが歌う"。準備を」

「仰せのままに」

猫と蜥蜴が去りツクヨミが笑う。満足そうに、可笑しそうに。

「僕に盾突くものは何であろうと容赦は要らない。全力を以って任務にあたれ」

「御意」

ツクヨミの髪が揺れる。若草色のそれは数年前に亡くなった色とされていた。――だがそれも表向きの話。

裏では教団と騎士団を牛耳る影の支配者。スコアを違えしイレギュラー。

「導師イオン」

「…おい」

先程までの笑顔が嘘のように鬼と化す。女王は何事も無かったかのように応えた。

「どうしました、導師ツクヨミ。イオンの名が出たくらいで」

「違うね。お前は今、死者を指してイオンの名を口にした。いくら女王でも許さないよ」

ツクヨミは、元の名をイオンという。かつて教団のトップにいた人物に相違無い。女王が目をつけヴァンに気づかれないよう接触しローレライの協力で死のスコアを違えた。ヴァンの傀儡になるのは御免だと演技までしてレプリカに名と教団を明け渡し、自らを利用したヴァンを弄びたいが為にここにいる。

そして秘密裏に特殊師団アリスが結成された。導師ツクヨミの個人的な師団で、女王を筆頭に信頼できる部下を集めた。全てはローレライの神子の下に集い、気に入らなければ排除する。どの道世界は滅ぶのだから少しくらいは楽しませてもらおうという、その目的を達成する為の師団。

「肝に命じておきましょう。導師ツクヨミ」

名目上は上司である少年に頭を下げ、踵を返す女王。しかし実質的に全ての権限を持つのはローレライの神子である女王だ。

「…無慈悲なる女王陛下。君に良くないスコアが出てる。気をつけなよ」

「ご心配、痛み入ります」

暗記した紙束を一瞬で燃やし、女王が退室する。

それを見送ったツクヨミは次から本格的に動き出そうと要点を紙に書き出していく。導師たるツクヨミが詠んだスコアは的中率が高い。それが恩人を悲しませるものならば、全力で覆すまで。権力だろうが暴力だろうが使えるものは全て使ってみせる。"闇の支配者"の名は、伊達や酔狂ではないのだから。














師団長と導師
(嘆くのは止めた。これからは笑う為に生きていく)


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導師=オリジナル様でした。個人的に七番目は大嫌いなのですがオリジナル様は大好きです。


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