師団長
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力一杯捏造設定
時間軸&現在地不明、さらに続かない
パタリ、パタタと視界を掠める鳥に「お帰り」と声をかけ手を伸ばすと喜んで肩に留まり頭を擦り寄せてくる。その仕草がかわいらしく、つい自らも指で頭を撫でてやる。
「今日はどうしたんだ」
「あっリジィだ〜! 久しぶり〜」
「珍しいですね、リジィが来るなんて」
お久しぶりです、とギィが挨拶するとクルル、と喉を鳴らす。それを見ていたミシェルは頬を膨らませた。
「ギィとアッシュ師団長ばっかりずる〜い! 私は〜?」
するとリジィはプイッとミシェルにお尻を向けてしまう。途端にショックを受けて凹むミシェルは「なんで〜?」と涙声で抗議したが、誰もフォローしなかった。
「…ちょっとあんたたちさっきから何言ってんの? そこに何かいるわけ?」
アニスの台詞に残念そうな目で見返すミシェルとギィ。
「見えないんだ?」
「見えてないんですね?」
クルル、クル、とかわいらしく鳴くリジィは未だアッシュの肩にいる。
「…? あんたたちには何か見えてるわけ?」
アニスは限界まで目を開き気配を探ってみるものの、何も感じ取ることができずに首を傾げた。
「…この中で私たちがリジィと呼ぶものが見えたという人は?」
ギィが仕方なく問うが誰も反応しない。それに対してミシェルが叫んだ。
「別に無くても死にはしない」
「死にませんけど〜死にかけたりしますよ〜!」
「取り敢えずリジィの説明が面倒なのは確定しましたね」
どうします? と目で聞いたギィにアッシュはあっさり放って置けと返したが、納得しないアニスが喚いた。
「だから、リジィって何!?」
「リジィは異形ですよ。素養のない者には存在自体曖昧なもので目視すら出来ません。もちろん声なども聞こえません。一般的には都市伝説やお伽話などで知られる程度です」
ギィからスラスラと出てくる台詞に内心感心しながらミシェルが続く。
「で・も〜異形から素養のない人に干渉することはできるから〜何も無いところからいきなり腕を食いちぎられた! ってなっちゃうこともあるんだよ〜」
「一般には目視できないことを利用してリジィのように伝達手段として使うこともありますけど」
基本的な説明をしている二人は同じオラクルに所属している者として段々情けなくなってくる。ある程度単独任務をこなしていれば異形を見ることができなくても(こればかりは素養がものをいうので)異形の存在くらいは知っていてもおかしくないというのに。
「私たちがリジィと呼ぶのは…異形の中でもとくに能力が高いことで知られるものです」
そのくらいにしておけ、とアッシュが目で語る。違わず意味を理解したギィは口を閉ざした。
「用があったんだろ、リジィ?」
アッシュが問いかけるとリジィは羽の中から紙切れを引っ張り出す。素早く目を通し軽く紙を擦ると一瞬で消え失せた。
「召集命令だ。詳しくは後で話す」
「リジィお疲れ〜」
ミシェルの一言で姿を小鳥から大鷲へ変えたリジィが空へ飛び立って行く。
見送ったアッシュは面倒なことになりそうだ、と眉間に皺を寄せた。
師団長と異形
(それで、なんて?)(ルナがレムを食い殺し虹が出る、想い募る場所へ女王並びに猫、蜥蜴が来たれ)(うわ、嫌な予感がする〜)(…違いない)
異形→魔物とも幽霊とも違うもの。元々は精霊の成り損ないを異形と言っていた。現代で精霊は存在しないため魔物とも幽霊とも違うものをそう呼ぶようになった。素養はセブンスフォニムの素養とはまた別で各フォニム均等に70%以上の素養がなければ見ることができない。この場合の素養は訓練次第でどうとでもなる。異形に決まった形はなく人語を話したり人の姿をしていたりする場合もある。見分け方は少し透けて見える(フォニムの変異体なので)。
…元ネタ分かる人、いますかね?