マイソロ
□そして、焔は再生する
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かつて。
これほど嘆き、悲しんだ神がいただろうか。
悪しき感情を持たぬとされた神は、このとき初めて憎み、怒り。
人とは違う自らの存在を、これ以上無いほどに悔やんでいた。
神はただ幸福を願っていただけ。
数多ある命の中の、特別とも言える"一つ"の幸福を願っていただけ。
しかし願いは届かず無惨にも捩曲がり、果ては引き裂かれ特別な存在が手にしたのは底知れぬ絶望だけ。
神は七日七晩、憎み怒り悲しみ嘆き悔やみ泣いた。
そして七の晩に神は思いつき、笑いながら誓った。
神は以前と同様に一つの幸福を願って涙を止めた。
結果、世界を見放すことになれど構いやしないと。
まもなく聖なる焔は世界から消え、異世界へと降り注ぐだろう。