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前回のアシュルク視点
二人がいる場所は言わずもがな音譜帯
アッシュとルークは強制的に地上へ呼び出されたローレライを見送り、その様子を眺めていた。
誰か、と問われ実に自分たちらしく振る舞うローレライは中々いい役者になれそうだな、と感心する。
二人の眼下には選択肢を提示しているローレライに戸惑うかつての仲間。
「俺が地上へ戻るって言ったらアッシュはどうする?」
奴らの答えはレプリカ・ルーク。反論がないということは満場一致ということだろう。
「決まっている」
ローレライが作り出した人形(あれはセブンスフォニムで姿形だけ似せた紛い物)を本物だと信じて疑わない愚者。
「共に在ることを引き裂くのならば、」
選ぶだけで全てが手に入ると思い上がった、屑。
「追いかけて奪い返すまでだ」
邪魔が入るならば切り捨てるまで。異論も反論も認めはしない。
それこそ、世界の全てを敵に回したとしても。
「その前に俺が消してるかも、な」
二人を望むなら死を受け入れろ。そんな選択肢を突き付けられて結局自分可愛さに決断できない、下等生物。
「世界は救われた。それ以上を望むなど…傲慢か、強欲か」
「嫉妬かもよ、アッシュ」
ローレライも優しいもので執行猶予を与えたらしい。
しかし、これで奴らの立場も明確になろう。所詮英雄の皮を被った罪人だ。世界が誰を望むのか、火を見るより明らかだろうに。
しばらくして地上からローレライが帰ってきた。良いものを見せてもらったと笑顔で迎える二人。
「お帰り、ローレライ」
「次も期待しているぞ」
ルークが次は地上へ降りてみようか、と考えて、止めた。どうせ罪人に自分たちの見分けなどできるはずも無い。
二人の台詞にローレライは頷くと、いつものように実体を解く。"三日後に起こしてくれ"と言い残して。
仲よきことは美しきかな
(同位体ですから)