BOOK

□things your smile gives  #2
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高校入学の朝。



教室にギリッギリで到着すると、見知った顔が手を振っているのが見える。




「おー!!藤君!初日は何とか頑張ったねぇ」


「藤原は間に合おうとはしてないよな。普通に歩いて、今日は間に合ったってだけじゃね?」



「おりぇ・・・俺はヤキモキしたよー」




見慣れた顔を見つければ、やっぱりホッとするもんだ。




「ここまでの腐れ縁は、気持ちわりぃだろ」


なんとなく照れくさい俺は、憎まれ口を叩いてごまかす。









地元の高校に進学希望を出していた俺ら4人は、無事に合格を果たした。

しかも、蓋を開けてみたら、何とクラスまで同じだった。



高校生活初日のクラスとは思えないほど、盛り上がってる俺らを周りは遠巻きに見ていた。





・・・・・・・ん???





・・・今なんか『クスッ』て聞こえた気が・・・。



周りを見渡してみるけど、特に気になるようなヤツはいなかった。

まぁ、俺もちゃんと見えてないけど・・・。





首を傾げながら視線を戻すと、何か言いたそうな顔をしたチャマと目が合う。



「チャマ?なんか・・・・」



言いかけた俺の声と始業を告げるチャイムが重なり、
聞き出すタイミングを逃したまま、入学式の会場に誘導されてしまった。










入学式は、きっとどこの学校に行っても同じ様な流れと、




きっと誰が話しても同じ様な話にゲンナリしてくる…。








あぁ…、屋上行きてぇなぁ…。ここの屋上どんな感じかな。



“屋上”というキーワードと一緒に、出てくるようになった顔がある。





またいつか会えんのかな…。




どこにいんだろな、あいつ…。









教室に戻ると、一通りの連絡事項の後自己紹介になり、



順番に席を立ってポソポソと発言していく。


自分の順番はまだ先だったし、退屈になってきた俺は外を眺めていた。








すると、今までのクラスメイトとは違う、ハッキリとよく通る、柔らかい声が近くから聞こえる。








声のする方を見て、










それが誰なのかわかった時、




心臓が耳元で鳴っているのかと思った。















ゆきだった。
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