蜂蜜色のときめき

□study study
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 慈郎は跡部の家に勉強会を兼ねたお泊りに来ていた。
 どうしても、授業中におねむになってしまう慈郎は、そんなに頭が悪いわけではない。聞いてないのでわからないのだ。赤点を取ってしまうと部活に出られなくなるので、跡部が定期的に勉強会を開いているのだ。
 普段は部活のメンバーほとんどが集まっているのだが、今回は慈郎が寝すぎの為に各教科の宿題をプリント一枚もらってしまい、出来ないよ〜と半泣きになっていたのでご褒美をぶら下げて復習とプリントを終わらせようと急遽跡部が考案したのだ。

 「うう〜ん、これ、難しいよぉ」

 頭を抱えながら、出された数学のプリントをぽいと投げ捨て、床にごろんと寝転がる慈郎にもう半分も終わってるんだから頑張れと声をかける跡部。

「慈郎、頑張って終わらせたらドーナッツ食べれるぞ?」
「え? どうなっつ? わ〜おれ、がんばるね!」
「その調子だ、解らない所は教えてやるから、な?」

 頭をよしよしと撫でられて、ご機嫌な顔を一瞬したが又しかめるので、そんなに難しいところだったか? と跡部は手元のプリントを覗き込んだ。

「問題が難しいわけじゃないんだよ」
「じゃぁ、どうしたんだ?」
「あのね、怒らない?」
「内容によるけど、怒られるようなことなのか?」
「おこ、られる、こと、かも……。寂しいの」
「え?」
「寂しい! 折角跡部と一緒にいるのに、お勉強だけなんだもん!」

 むぅっと頬を膨らませて、膝を抱え、ぷいと横をむく。何がしたいんだ? と訊ねると

「んとね、わかんないけど勉強以外? だってさ、勉強ばかりして質問以外のお話しないじゃん? 寂しいよ」
「でもな、終わらせないといけないからなぁ」

 ちょっと思った答えと違うことに残念なような安心したような気持ちになったが、慈郎をみるとふくれっ面のままだ。話しながらすると頭に入らないし進まないのは目に見えているので、ちょっと考え込んでいた跡部に慈郎が

「わかった! 良いこと思いついたよ! 跡部が問題読んでよ! んで、跡部がおれをぎゅっとするといいの! 近いし、声も聞こえるし寂しくないっ!」

 跡部の声は良い声で好きだし、お勉強もはかどるよ〜とにこにこしながら近づいて跡部の前に割り込むようにすわる。

「慈郎、本当はくっつきたいだけだろ?」
「え? えへへ〜だって寒いC、でもでも向かい合わせより寂しくないのは本当だよ? 跡部が後ろからみてるから、ちゃんとお勉強しなきゃって思うよ?」
「そうか、そうだな。ちゃんと勉強しないとここならオシオキできるもんな?」
「え? おしおき? や、やだやだ! ちゃんとするもん!」
「もし、出来なかったら……」

 そういうと慈郎の耳たぶをカプリとかんだ。奇声をあげて逃げようとする慈郎をぎゅっと羽交い絞めして耳元で囁く。

「全部食べちゃうからな?」

 慈郎の心音は跳ね上がり、これじゃお勉強に集中できないよ〜と嘆いたが自分で捲いた種だろ? とクツクツ笑いさらに軽く抱きしめ頬擦りもする。

「因みに、ご褒美もある。美味しくいただいてやるよ? 俺様も寂しかったんだしいいよな?」
「それってそんなにかわらないよね? もう、跡部のえっちさんめっ!」

 赤く染めた首筋と耳たぶにキスをしてクツクツ笑いをする跡部とそれを恥ずかしがりながらも腕の中に納まったままの慈郎。甘い甘い勉強時間の始まりのようです。






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