読物
□願望と嘘
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雷と雨が激しく辺りを打ち付ける中、戦闘を繰り広げるカカシ班と3人の忍。
敵の忍が起爆札を爆破させた瞬間、爆風に煽られたナルトは着地点を誤り崖から真っ逆さまに落ちていきそのまま意識を手放した。
『ナルト!!!!』というカカシの焦ったような声を聞きながら……
綱手「目が覚めたか、ナルト」
気が付いたら、目の前はいつものお馴染みの木葉病院の天井で……
ナル「………だ…れ…?」
まだ目が覚めたばかりの頭で、人の認識がおぼつかないナルト。別に記憶がどうこうという訳ではないのだが……
綱手「ナルトお前……記憶が…?」
綱手が呟いた瞬間、病室のドアが勢いよく開いき、眉にシワを寄せたカカシが入ってきた。
カカ「綱手さま!ナルトは…」
綱手「うるさい!ここは病院だぞ!静かにせんか!」
(ばーちゃんも充分うるさいってばよ…)
カカ「Σナルト!!目が覚めたのか!!よかっ『ナルトは記憶を失っている』」
カカ・ナル「「Σえっ?」」
綱手「さっき、私に誰だと言ってきたんだ。」
カカ「まさか……」
カカシは漠然とナルトを見つめた。ナルトはまさか自分が記憶喪失と間違えられるとは思ってもおらず……
だがしかし…
(ニシシ、こりゃ面白そうだってばよ。どうせ入院中は暇だし、久しぶりにイタズラしちゃお♪)
ナルトはカカシを見つめると困ったように「誰?」と呟いた。 もちろん演技である。
しかしカカシに、そんなナルトの心境を見破れるはずもなく…
カカ「…ナルト…お前……本当に忘れたのか俺のこと…」
(ぶくくっ、あのカカシ先生が動揺してるってばよ)
カカシは動揺を隠せないまま、綱手の方に振り向いた。
カカ「綱手さま…しばらく…ナルトと二人にしてくれませんか?」
綱手「……。…わかった。だがあまりナルトを刺激するなよ?記憶喪失はデリケートなんだからな」
カカ「わかりました」
それを聞くと綱手は背中を見せて病室から出ていった。それを確認したカカシは再びナルトを振り返ると口を開いた。
(ニシシ、カカシ先生どうするつもりだろ)
久しぶりのイタズラで内心ワクワクなナルト。
しかし次のカカシの一言に、その気持ちは打ち砕かれた。
カカ「ナルト、忘れたのか……恋人の俺のこと…」
………
(……は?)