□金糸雀葬
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あなたはカナリア
わたしのカナリア
誰よりきれいな羽色で
とびきり素敵な歌声で
いつも私にうたってくれた

鳥籠の鍵は錆び果てて
夜風だけがうたっているの

冷たくなったあなたのからだ
白い繻子地で包みましょう
歌をつむいだ小さなのども
陽に色づいた小さなはねも
忘れないように
やさしく やさしく

今日はさよならの日だから
華奢な白木の柩によこたえ
仄い土をかぶせましょう
あなたの記憶だけは
地上に残すように
忘れないように
しずかに しずかに

あなたが去ったからっぽの籠
浅黄の花を手向けます










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