ヴァンパイア騎士
□ゆきってなあに?
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黒主学園ができる約6年前のこと…まだ、悠と樹里が生きているころのお話。
雪が降る夜、厚着をした悠と枢は真っ白な雪の上を歩いていた。
「ハアー…」
二人の吐いた息が真っ白になって夜空にふわふわと浮いた。
そして、玖蘭の少年が静かに空を見上る。
「悠…素敵ですね」
「ん…?雪のこと?」
悠も空を見上げる。そして、クスッと笑って言う。
「本当だ。綺麗だな。星が空から降ってくるようだ…」
「優姫にも見せてあげたいです…」
悠は寂しそうな枢の肩を握りしめて微笑んだ。
「いつか、見せてあげられる時が来るよ」
「いつか…ですか…」
「いつか僕は突然、消えてしまうだろう…。その時は優姫を頼んだよ、枢」
「…わかってます」
枢の返事を聞いて、悠は嬉しそうにニコッと微笑んだ。
「さてと!そろそろ、温かい我が家に帰ろうか!二人が待ってる♪」
「はい」
****
ガチャ
「ただいま」
「ただいま帰りました」
2人が奥にある部屋の扉を開けると元気に女の子が枢に飛びついた。
「おかえりなさい!わあ…かなめおにいさま、つめたい」
「あ…ごめんね。雪、まだはらってなかったよ」
そう言って、枢はパンパンとズボンを手で叩いた。
「いま、はらったのは“ゆき”っていうの?」
首を傾げ微笑む優姫。つられて枢も微笑んだ。
「そうだよ。真っ白で冷たくて綺麗なんだ」
「わたしのなまえといっしょだね」
ニコニコと天使のような笑顔で枢の顔を覗き込む。枢はその笑顔を見ると、ぼーっとそれを見つめた。
「おぉ、確かに。…優姫と雪、確かに似てるね」
顎に手を置いて間から悠が感心する。
「何の話をしてるのー?」
台所から樹里が出てきた。
「樹里!ただいま。なんだい?その服は…寒くないのかい?」
「これはチャイナ服っていうの!クローゼットをあさっていたら見つけたから着てみたの。
ちょっとピチピチだけど…」
樹里は、一回転して悠に服を見せた。そして「どう?」と言って問う。
「樹里は何を着ても似合うね♪可愛いよ」
「もうっ、ありがとー」
悠はニコッと微笑むと、樹里は顔を真っ赤にして悠に抱きついた。
「おかあさま、かあいい」
「可愛いです」
優姫と枢も言った。