或る画家の回想
□星の鼓動
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それから私―――ナディーン・フォスタースとクリス様の奇妙な交流は細々とだが続いていった。
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はじめて屋敷に招かれてから二ヶ月が経過した頃。私も宮廷画家としての依頼が舞い込みはじめ、それなりに多忙な日々を送っていた。
私は一旦作業に入ってしまうと没頭してしまうので、ジルクリスト邸を訪問するのはそう頻繁ではなかったのだが、クリス様はいつも温かくもてなしてくれた。
……ヒューゴ様は、あの日以来見かけない。
話をしていてもクリス様が時折寂しそうな顔になるのは帰らぬ夫を待ちわびてのものだとすぐに察した。
とはいえ私が口を挟めることではなかったのでこのことに関しては私は何も問いかけず、静観の姿勢を貫いていた。
私とクリス様の交流の場は、彼女の体調が優れぬ時は客間で(この場合が圧倒的に多かったのだが)、体調が良い時は裏庭で行われた。
この人目につかないひっそりとした裏庭を彼女はことのほか気に入っていたらしく、クリス様は裏庭へ私を連れて行くと、自らの育てていた花などをひとつひとつ、説明した。
そんな彼女をスケッチしつつ話し相手を務める、というのがいつの間にか私の習慣になっていった。
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