゚*Phantom Hideaway*゚

□-かけろ-
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ルノゼアは様々な料理を

思い浮かべながら歩いていた。

自然と顔がほころびてしまう。

のんびりと歩いていた彼の目の前に

突然出て来た人がいた。

ルノゼアは一瞬驚くものの、

急に避けられるはずもなく、

相手にぶつかってしまった。

結構な人ごみだ。

衝突事故も少なくはない。



「ってーな」

「たたた……すみません」



即座に謝り、ぶつかってしまった相手を見る。

相手は目付きの悪い茶髪の青年だった。

彼は琥珀の瞳をしており、

首から深紅のペンダントを提げていた。

腕まくりをし、

その袖口から覗く腕はたくましい。

ルノゼアと同世代だということがうかがえるが、

そのオーラはまるで違う。

相手はしばらくルノゼアを

にらみ付けると、こう言い放った。



「気を付けろよ、ガキが」

「……」



ガキと言う単語にルノゼアは反応した。

周りはにぎやかなのに、

不思議とその単語ははっきりと聞き取れた。

彼は黙り込む。

青年は一つ舌打ちをすると、

向こうへ走り去って行った。

振り返る際に深紅のペンダントが

キラリと光ったのが見えた。

ルノゼアは徐々に人ごみに消えていく

青年の背中をじっと見つめていた。



 
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