゚*Phantom Hideaway*゚

□-つらぬけ-
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異国の地で一晩過ごしたルノゼアたちは

遅めの朝食をとっていた。

早朝は過ぎたはずの時間帯だが、

窓の外は霧で霞みがかっていた。

そこまで濃い霧ではなく、

もやでとどまっておける範囲だろう。

これもやはりポリアスによる

エスクードのお陰なのだろうか。

昔はこれの何倍も霧が濃かったのだと、

セナルから聞いたのはつい先程の話だ。

窓の外を見ながら紅茶を

飲んでいたルノゼアは

カップを机に置くと言った。



「そう言えばさ、エスクードに

 触れるなって言ってたけどよ、

 鳥とか虫の出入りって

 どうなってんだろうな」

「考えてみれば不思議よね。

 動物たちはどうしているのかしら」



ユシェラもカップを手に取り、

紅茶を口に含んだ。

彼女の隣にいるエネルカは

皿いっぱいに盛られたフルーツに夢中だ。

そこに二人の会話を黙って聞いていた

ラネストが口を開く。



「……召喚獣と言えど、動物と同じ獣だ。

 心を通わせることは可能だろう。

 テレパシーとかあるんじゃないのか」

「なるほどな」

「さすが召喚獣ね」



ラネストの言葉にルノゼアとユシェラは

納得したようだ。

しばしの沈黙、ルノゼアは未だに

フルーツに夢中になっているエネルカを

一瞥した。

彼は横取りしようと思ったのか、

皿の端に乗っているフルーツに

手を伸ばした。



 
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