゚*Phantom Hideaway*゚

□-ゆけ-
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「行き先は確か……」

「サモンドールって言ったよね」



ルノゼアはタルに腰をかけ、

外を見下ろしているエネルカと

話していた。

ヴィエントは北東を目掛け、

爽快に空を駆け抜けて行く。

風が吹き抜ける中、

二人の元にユシェラがやって来た。



「あら……

 ルノ、高所恐怖しょ……」

「だぁーっ!

 知らねぇ、知らねえ!

 俺はそんな言葉知らないぜ」

「……まだ直ってなかったのね」



ユシェラは口に手を当て

含み笑いをした。



「わ、笑うな!

 だって直せるもんじゃないだろ」



ルノゼアは顔を少し赤らめながら

焦っている口調で反論した。



「あら、そうかしら。

 私、これでも昔は

 高所恐怖症だったのよ」

「マジかよ!?」

「それ本当!?」



ユシェラは腕を組んで、

笑いながら頷いた。

ルノゼアとエネルカは驚いて、

顔を見合わせた。



「小さい頃の話ね。

 ほら、私って木の上に住んでいるから

 そこに行かなきゃ

 食事も睡眠も出来ないでしょ」

「……ある意味拷問だよな」

「強制的、だね……」



ルノゼアはユシェラを指差して

エネルカに小声で言った。

それに対し、エネルカは苦笑した。



「ちょっと、何か言った?」

「いや、何でもねぇよ」



ルノゼアはいかにも作り笑いで

ユシェラの質問を受け流した。



 
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