゚*Phantom Hideaway*゚
□-かけろ-
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空の中心から太陽が西に少し傾いた頃、
ルノゼアのまぶたは動いた。
「んっ」
ゆっくり目を開け、体を伸ばす。
一つあくびをして先程と変わらぬ城内を見る。
うつろな目で行き交う人を目で追う彼は、
魂が抜けたかのように
しばらく一点を見つめていた。
晴れない眠気を操る睡魔はまだ傍らにいる。
彼は開ききっていない目をこすると、
その場に立ち上がった。
「相変わらずの人ごみだな。
と、いうか腹減った……」
辺りを見渡していた時、腹の虫が鳴いた。
そのお腹に手を当てながら、
彼は歩き出した。
お食事処へ向かうために。
「さぁて、何を食べようかなー」
ルノゼアは心を弾ませながら
お食事処へ向かった。
料理の芳しい香りがまた食欲を増進させ、
空腹をつらいものにした。
中央王国は大勢の人が集まるだけに、
それだけ店舗数も多い。
各地の名物や特産品を使った家庭料理、
スタンダードなメニューから軽食まで、
様々なメニューがある。
このような選択肢が多いのもまた、
中央王国の魅力の一つである。