゚*Phantom Hideaway*゚

□-なせ-
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ルノゼアは、机の上に置かれた

一通の封筒を手に取った。

複雑な赤い紋章の、

ちょっぴり豪華な作りをした

シールで封は閉じられていた。

彼はシールをつまみ

慎重に開けようと試みた。

だが、封に沿ってノリも付けられており

簡単に開封することは出来なかった。

ぴりぴりとノリがはがれる音と共に

封は、彼の手によって開けられていく。

やがて、中から便箋が顔を見せた。

角がきちっと揃えられ、

二つ折りにされている。

ルノゼアは封筒から便箋を取り出すと、

表情を変えずに、それを開いた。

そして、黙読する。



―――ルノゼア殿

ご無沙汰の月が経ったが、

いかがお過ごしだろうか。

先日、オニキスを首から提げた黒ワシが

我が城を訪れた。

黒ワシの足に付けられていた便りには

゙時は来だ、

ただそれだけが書かれていた。

恐らく魔女からの物だと、

我々は推測している。

満月の日、是非中央王国に来て頂きたい。



ルノゼアは、読み終えると

落ち着いた表情で、

今一度その手紙を見つめた。



 
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