D灰 dream
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『アレン、聞こえる?』
歌声の聞こえてくる方を見ながら、アディはアレンに問う。
「はい。キレイな声ですね」
『うん。村の人が引き寄せられるのも、分かる気がする』
「行ってみますか?」
『そうだね。いなくなった人達のことが気になるし』
アディとアレンは、声をたよりに森の中へと入って行った。
*
「アディ、大丈夫ですか?」
『なんとかっ…!』
全く整備されていない所から森に入ったので、人が歩く道などは存在していない。
盛り上がっている大樹の根に悪戦苦闘しつつも、アレンに助けられながら進んでいくアディ。
二十分ほど歩くと急にあたりがひらけ、目の前には大きな湖が広がっていた。
『うわぁ…。大きい…』
アディは感嘆の声をもらした。
「アディ、あれはなんでしょう?」
とても大きな楕円形をした湖の、丁度中央あたり。
水面から1.5Mくらいのところに、金色に光る場所を見つけた。
アレンはそれを指差しながら、不思議そうな顔をしていた。
その時、ガサガサッと、木の葉が触れ合う音がした。
「『!?』」
アディとアレンは驚き、音のする方を探す。
『アレン、あそこ!』
先に見つけたのはアディで、その場から少し離れたところを指差している。
「あれは… 村の人?」
『多分そうだよ!このあたりの人がいるところ、あの村だけみたいだし!』
「なんでこんなところにいるんでしょうね?」
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