D灰 dream
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「ようこそいらっしゃった。本当はこの村を紹介して回りたいくらいなのだが…。あいにくそうは行かないようでの…」
老人の顔には、リーバーに負けないくらい、疲労の色が浮かんでいた
それでも、笑顔を作ろうとしている
「失踪について、詳しく聞かせてもらえますか?」
アレンが聞くと、老人は深く頷いた
「大体聞いているかと思うがな…。まだあんた方に伝えていないことがあったので、それを伝えよう」
『それは、なんですか?』
アディが聞くと、老人はゆっくりと話し出した
「数年前、この村はそれまでにない大飢饉にあった。
村にある五つの井戸は全て枯れ、作物も穫れなくなった。
晴れの日が続き、暑さにやられ死んでいく者も出てきた。
当時の長は私ではなく、別の者だったのだが…
その長が、言ったのだ
“神に生け贄を捧げれば、村は元に戻るのではないのか”と。
そして、村の中で唯一家族のいない五歳の少女が生け贄として捧げられた
その少女の両親は、駅の近くにある大きな街に出稼ぎに行っていていなかった
何も知らずに森に連れて行かれた少女は、森の奥深くに置いてこられた
それから、少女を目にする者はいなかった
そして不思議と村は元通りになり、村人は平和に暮らした」
老人はそこで言葉を切り、深呼吸をした
「それが、どう関係しているのですか?」
アレンが先を促す
「つい昨日、また村人がいなくなった。
その村人が、いなくなる直前、今まで呟いていた言葉と共に、もう一つ言葉を発していたのだよ。
“リリィ”と」
『生け贄として捧げられた少女の名は?』
「お察しの通り、リリィだよ」
老人は悔しげな顔をする
「私は思うのだよ。
これは、神が私たちに与えた罰なのではないかと。
何の罪もない少女を置き去りにした私たちの…」
*
『アレン、さっきの話どう思う?』
長の家を出て、森に調査に出たアディとアレン
「そうですねぇ。リリィという少女が、何らかの原因でAKUMAになってしまい、村人に復讐をしているとか?」
そんな話をしながら森を歩いていると、歌が聞こえてきた
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