D灰 dream
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すると、それを見ていたのか、すぐに探索部隊の四人が駆け寄ってきた
「終わりましたか?」
探索部隊の一人が、口を開いた
残りの三人は、アディにくっついているサラを見ている
「終わったさ〜。んで、頼みたいことがあるんだけど…」
ラビはそう言って、アディを見た
アディが話しやすいように、きっかけを作ってくれたみたいだ
『この子を、保護してもらえませんか? 両親とも死んでしまったみたいで…』
アディがそう言うと、最初に口を開いた人とは別の人が反応した
「分かりました。その子は、我々が責任を持って保護します」
探索部隊のその言葉に、アディはほっと
胸をなで下ろした
そしてエクソシスト等四人は、教団に帰るために駅へと向かった
*
汽車に乗り込み、一息つく
帰りの汽車に乗ると、神田はすぐに目を閉じて眠ってしまった
「アディは、どうしてあの子に入れ込んでいたんですか?」
アレンが、行きの汽車と同様に、アディに質問をぶつけた
すると、アディは哀しげな表情を浮かべた
『昔の自分と少し重なっちゃって、放っておけなかったから…』
すこし目をふせながら、アディは話し始めた
『私、七歳の時に行った任務で、目の前で両親がノアに殺されてるんだ。
九歳の時には、お兄ちゃんも…。
だから、AKUMAに両親を殺されたあの子が、私みたいに歪んじゃったらって思って…』
「それで、放っておけなかったんさ。アディは優しいんだな」
ラビは暖かい表情で、アディに話しかける
『そんなことないよ。ただ、自分が辛いから。それだけなの…』
アディの声は、小さくなっていく
「アディは、優しいんですよ。
自分がした辛い思いを、人にさせたくないと思って行動しているんでしょう?
すごいことじゃないですか」
ラビとアレンに言われ、悲しげだけど、柔らかい笑みを浮かべた
『ありがとう。アレン、ラビ』
アディがそう言うと、アレンとラビは満面の笑みで応えた
丁度その時、汽車は降りる駅に着いた
「うわっ! もう夕方なんさ!?」
駅のホームに反射する、太陽のオレンジ色の光を見て、ラビが驚きの声を上げた
一日は、もう終わりを迎えようとしていた…
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