D灰 dream
□08
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「急なんだけど、君たち四人には今からギリシャに行ってもらいたい。
数日前に、近隣の街にいた探索部隊から連絡があり、レベル3のAKUMAが数十体現れているそうなんだ。
近くに人がたくさんいる街があるから、今すぐに!」
コムイに手短に説明を聞くと、アディ、神田、アレン、ラビの四人はすぐに教団を出発した
*
汽車に乗り、一段落ついたところで神田はふらっとどこかに行ってしまい、個室の中には残りの三人が残った
「そう言えば、さっき気づいたんですが、アディは神田のこと、ユウって呼んでいるんですか?」
アレンは向かい側に座るアディに聞く
「そうそう! それ、オレも気になったんさ!」
アレンの隣に座るラビが、身を乗り出すようにして聞く
『え? あぁ、私くらいだもんね、ユウって呼ぶの』
そう言ってから、アディは何故神田をユウと呼ぶのか話し始めた
『私、生まれたときから教団にいて、神田に初めてあったのは私がまだ3歳とか4歳の頃で…。
その頃、私は濁点の発音が苦手で、神田って言えなかったの。
それで、ユウって呼ぶようになったんだ』
アレンとラビはすごく驚いている
「オレらがユウって呼ぶと怒るのにな。何気にユウにも優しい面があったんさ〜」
ラビはしみじみとしたような表情を浮かべている
「アディはなんで生まれたときから教団にいるんですか?」
アレンがまた、別の質問をぶつける
『私の両親は、二人ともエクソシストだったの。
父さんは元帥だったって聞いてるわ。5年前、ティキに殺されるまではね』
そこで、アディは一息吐き、また話し始めた
『5つ年上の、ユウと同い年のお兄ちゃんもいたけど、3年前に同じようにティキに殺されてるわ。
残ったのは、私だけ…』
アディの、思いもよらなかった告白に、アレンとラビは言葉を失った
「すみません。辛いことを思い出させるようなことを聞いてしまって…」
ばつが悪そうに、アレンは言う
『大丈夫。もう、過去のことだから。
両親が死んで、兄さんも死んでしまってから、コムイさんやリナリー、ユウやリーバー班長が、私に家族みたいに接してくれていたから』
アディは、少し哀しげな表情で笑った
汽車は、目的地に近づいていた
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