D灰 dream

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「僕はアレン・ウォーカー。エクソシストです」


『私はアディ・エレバン。アレンと同じで、エクソシスト』


アレンとアディは少女に、湖のほとりにある小さな小屋に案内された


質素だが、住むのには不便ではなさそうだ


「私はリリィ・アントワーヌといいます」


アレンとアディの自己紹介を聞いた後、少女は簡単に言った


『リリィ…。あなたは、何年か前に生け贄として差し出された少女?』


「長から聞いたのですね。そうです、それは私です」


「リリィも、エクソシストなんですか?」


アレンが聞くと、リリィは少し黙った


そして、おもむろに口を開いた


「長くなるかもしれませんが、聞いていただけますか?」


アレンとアディは無言で頷いた


「私は幼い頃、村で両親と一緒に暮らしていました。

村の人々には話していなかったのですが、両親も私もエクソシストで…。

村の近くに現れるAKUMAを密かに破壊しながら暮らしていました。

そしてご存じかとは思いますが、今までにない大飢饉に襲われたのです。

両親は表向きは出稼ぎとして、AKUMA退治に出かけていました。

丁度その頃、村で死んでいく人も多く、村人の何人かは村人になりすましたAKUMAになっていました。

でも、無事な人もまだ多く残っていて、これ以上AKUMAを増やしたくないと考えた私は、長に言いました。

密かにAKUMAを破壊したいので、森に住まわせてくれないかと。

そして私は表向きは神に捧げられた生け贄として、この森でAKUMAの破壊を行ってきました」


リリィはそう言い終えると、お茶を淹れますね、と言って席を立った


「…嘘ではないですよね。ホントにAKUMAを破壊してましたし」


アレンは小さな声でアディに問う


『多分、そうだね。エクソシストだから、教団に連れて行った方がいいかな?』


「僕が言いますから、アディは補足があったらお願いします」


リリィが、マグカップが3つのったお盆を手に、戻ってくる


アディとアレンの前にマグカップを1つずつ置き、座った


「リリィ、あなたは黒の教団を知っていますか?」


アレンは、リリィの瞳を真っ直ぐに見詰めながら話し出す


少しの沈黙の後、リリィは小さな声で、でもしっかりと「はい」と言った


「今まで行ったことはありませんが、存在は知っています。両親も、一度も行ったことがないそうでしたが…」


「なら、話は早いですね。エクソシストとして活動していく以上、一応教団に顔を出しておいた方がいいと思いますし」


丁度、アレンがそう言い終えた時だった


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