short story

□『太陽』
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死ネタです。。
閲覧は本当に気をつけた方がいいです。
そこまでシリアスじゃないけど、死んじゃいます。
ナタ嬢がアルのことをどう呼ぶか分からないので、普通にアルフレッドと呼んでいます。



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まるで、太陽のような人だと思った

あっさりと、凍り付いた私の心を溶かしていったあの人

私はきっと、あの人のことが好きだったのだろう…



「君がナターリヤかい?」

初めて言葉を交わしたのは、世界会議の後、兄さんと姉さんの用が終わるのを待っていた時だった

後ろから声をかけられ振り向くと、キレイな金色の髪に、空を切り取って貼り付けたような青い瞳を持つ、アルフレッド・F・ジョーンズが立っていた

「何の用だ」

私が短く、吐き捨てるように言っても、嫌な顔ひとつしなかった

普通だったら、嫌な顔をするかビビるかのどちらかなのに…

「別に用はないんだぞ! ただ、君のことは何度かイヴァンから聞いていたから、ちょっと声をかけてみただけなんだぞ!」

意味の分からないハイテンションで話す

私が何も言わずにいると、また話し出すアルフレッド

少しうんざりとしたような表情をしてみても、全く気にしてないようだった

「ナターリヤ… と、アルフレッド君?」

私の前、アルフレッドの後ろから、兄さんと姉さんがひょっこりと姿を現した

「アルフレッド君、ナターリヤと何を話していたの?」

兄さんがニコニコしながら聞く

兄さんのニコニコした表情は、自分の領地に入ってきた者を威嚇するためのもの

アルフレッドもきっとそれを悟ったのだろう、「世間話さ!」というと、すぐにどこかに走っていってしまった

その後、帰る途中に何度も兄さんに「何かされなかった?」と聞かれていたらしかったが、私の耳には入ってきていなかった

この時から、私の凍っていた心は溶け始めていた…


アルフレッドはことあるごとに、私に声をかけた

兄さんに用があって来た時も、大体は私と話してから帰っていく

一緒に話す、というよりは、私が話を聞くだけという形だったけど

それでもアルフレッドは楽しそうで、時々私が短く返事をしてやると、とても嬉しそうな顔をした

ある日、私は兄さんの仕事部屋の前でこんな会話を聞いてしまった

『そういえば… ずっと言い忘れてたんだけど、ナターリヤと仲良くしてくれてありがとね、アルフレッド君』

『急にどうしたんだい…? イヴァンらしくないんだぞ…』

『えー、酷いなぁ。お礼を言っただけなのに、僕が心配されるの〜?』

『なんか変な物でも食べたんじゃないのかい? 例えば…アーサーのスコーンとか!』

『面白いことを言うんだね。それよりさぁ… アルフレッド君、ナターリヤと仲良くしてくれるのはいいんだけどさ、君、僕からすれば邪魔なんだよねぇ〜』

『…何言ってるんだい? 意味が分からないんだぞ!?』

『そのままの意味なのに分かんないなんて、君は相当のバカなんだねぇ〜』

『…イヴァン、それ、俺にケンカを売っているのかい? だったら、ヒーローらしく相手をしてやるんだぞ!!?』

『ふふっ、そうだね。手っ取り早く邪魔者を排除するにはいいかもしれないね』

『そう言って、俺がイヴァンからナターリヤを奪うんじゃないかって心配なだけなんだろ!?  
俺は負けないからな!!』

急にドアが開き、怒りで肩を震わせているアルフレッドが出てきた

あまりの怒りで我を忘れているらしく、私がドアの前にいたことには気づかなかったようだけど…

それから数日後、事は瞬く間に大きくなり、国と国との戦争になった

戦争が始まってから3か月ほどたった日の朝のこと

兄さんは私の前に来て言った

「ナターリヤ、今日でこの戦いを終わりにしてくるからね」

意味は分からなかったが頷いてみせると、兄さんは笑って「行ってきます」と言って出て行った

その日、兄さんは帰ってこなかった

次の日、フランシスからの電話でその訳を知った

「ナターリヤちゃん!? オレ、フランシスだけど… 今すぐオレの家に来られる!? イヴァンが大変なんだ!!」

いつもとは全く違う態度のフランシスに戸惑いながらも、姉さんと一緒にフランシスの家に向かった

開けっ放しになっていた玄関から中に入ると、あわただしく動き回る看護師らしき女の人を何人か見かけた

看護師が入っていった部屋に入ると、中ではフランシスとルートが神妙な面持ちで何か話している

その傍らのベッドには兄さんが横たわっていた

少しずつ近づいていくと、すぐにフランシスは私と姉さんを見た
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