short story

□『好きということ』 
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友達が書いた泣いているナタ嬢のイラストを見ていて思いついた物です。
菊さんがとても積極的です。
あと、ナタ嬢が菊さんのことをどうに呼ぶかが分からなかったので、名字の呼び捨てです。
国名呼びを控えるために、捏造人名を用いております。
セーシェル→セシル   リヒテンシュタイン→リヒティ



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「キレイな髪ですね」

急に後ろからそんな声が聞こえてきた。

世界会議を終え、どこかに行ってしまった兄さんと姉さんを捜している最中の事だった。

声の主はなんとなく分かっていたので、ゆっくりと振り返る。

やはり、うしろにいたのは予想通りの人物だった。

「何が言いたいんだ、本田?」

無言でニコニコしている本田に聞くと、ふふっと笑った。

「私の国では、ほとんどの国民が黒髪じゃないですか。だから、ナターリヤさんの銀色の髪が珍しくて、あまりにもキレイだったもので…」

本田はそう言い、「急に声をかけてしまって、すみませんでした」と付け足して、去って行ってしまった。

「あら? ナターリヤちゃん、顔が少し赤くなっているわよ?」

本田の言葉について考えていたら、いつの間にか目の前に兄さんと姉さんが立っていた。

2人とも、私の顔を見て、不思議そうな顔をしている。

「何でもない」

そう言って誤魔化し歩き始めたが、兄さんと姉さんは全く信じていないようだった。

「何があったのかしらね…?」

「ナターリヤが赤くなるなんて、すごく珍しいことだよねぇ」

うしろで兄さんと姉さんが話し始めたのが恥ずかしくて、聞こえてこないように距離をあけようと、足が動くのが自然と速くなってしまっていた。

それから、家に帰っても本田のことを考えてしまい、自分で自分のことが分からなくなってしまった。

(今まで、兄さん以外の男が私の中にいるなんてなかったのに…)

翌日、私は姉さんに世界女の子会議に連れて行かれた。

エリザが主催していて、世界中の女の子が集まってお茶会をする、というようなものだ。

てきとうにあいているイスに座り、ただ時間がたつのを待つ。

いつもはただそれだけだったのに、今日はリヒティの一言で、私も話に参加せざるをえなくなってしまった。

「ナターリヤさんは、好きな方や気になっている方はいらっしゃらないのですか?」

花のような笑顔で聞いてくるリヒティになんて答えるべきか悩んでいると、今度は湾が口をはさんできた。

「そういえば、昨日にーにたちを迎えに行った時、菊さんと親しげに話しているのを見かけましたよ」

見られていたのか、と私は内心かなり焦ってしまった。

私が何も答えないので、他の女でどんどん話を膨らませていく。

この場から立ち去りたい、と思いながらみんなの興味が薄れるのを待った。

「お邪魔します」

ふいにそんな声が聞こえ、中に誰か入ってきた。

みんなが一斉にバッと振り向くと、中に入ってきたのは話題の張本人だった。

「菊さん!! どうしたんですか?」

湾が聞くと、本田はにこっと笑った。

「王さんが、湾さんが出て行ってからもう結構たっているので、迎えに行ってこいとおっしゃるものですから。ちょうどルートさんのところに用があったので、ついでによらせていただきました」

本田がそう言うと、エリザは時計を見て驚いた顔をした。

「あら! もうこんな時間じゃない。今日はもうお開きにしましょう」

話し始めてからもう4時間近くも経過していたので、エリザの一言でみんな帰り支度を始めた。

「本田さんは、ナターリヤさんのこと、どう思ってるんスか?」

帰り支度を終えたセシルが、急には本田に聞く。

みんなの視線を一気に浴びた本田は少し驚いたようだったが、あまり表情を崩さずに言っ
た。

「好きですよ」

それを聞いて、みんなとても嬉しそうになった。

「あらまぁ…。ナターリヤちゃん、どうするの?」

となりにいた姉さんが、笑いながら聞いてくる。

「〜〜っ///!?」

自分でも、自分の頬が熱くなっていくのがよく分かった。

だって、そんなに面と向かって誰かに好きと言われるのは初めてだったから…。

私は恥ずかしさのあまり、何も言わずに外に飛び出してしまった。

好きと言われてこんなにも嬉しいと思っている自分に驚いた。

本田のことを思い出すと、胸がドキドキして、止めることが出来ない。

こんな自分が、意味分かんない…。

でも、きっとこれが好きということ。






エリザ:あのナターリヤが赤くなったわ…!
リヒティ:やっぱり、ナターリヤさんは本田さんのことが好きなんですわね!
セシル:ナターリヤさんも、女の子だったんスねぇ…

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