short story

□『素直になれない』
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エリザ視点とギル視点で会話がかみ合っていないかもです(>_<)
ノマの王道CPですよね!!



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「お前、ホント変わったよなぁ〜」

ギルが珍しいものを見るかのような目で見てくる

「何よ。からかいに来たのならどこかにいってくれる?気が散っちゃうわ」

ローデリヒさんの屋敷の前を掃除しているところに現れたギルを、適当にあしらう

「なんだよ…。別にそんなんじゃねぇし…」

珍しくギルがあっさりとどこかに行ってしまった


別に私はギルが嫌いな訳じゃない

でも、ギルに対して私が冷たくなってしまうのは羞恥心のせい

昔、まだ幼かった頃、私は自分が女だと思っていなかった

毎日戦ってばかりで、体中傷だらけにしていた

ギルともよく戦っていて、昔から身近な存在だった

いつの頃からか、急にギルの私に対しての態度が変わっていたように思う

今思えば、ギルはきっと、私が気付くずっと前から、私が女だと分かっていたのかもしれない

それなのに無茶をし続ける私を、ギルはどんな思いで見ていたのだろう

女だと自覚し、戦いをやめ、ローデリヒさんと一緒に暮らすようになった

最初はよそよそしかったけど、慣れたら元の関係に戻った

顔を合わせれば口げんかをするような関係

とてもくだらないことのようだけど、私にはそれがうれしかった

『女なのか…?』と思うようになってから、私はギルに避けられるのが怖くなった

でも今も、昔と変わらず私に接してくれる

そんなギルが、私は嫌いじゃない


私は、どこかに歩いて行ってしまったギルを追いかけた

「ギル…!」

私が呼び止めると、ギルは驚いた顔で振り返った

「……!? 何だよ?」

私は呼吸を整えた

「これからローデさんが、お茶にするって。あんたも来ない?」

別にローデさんにギルを呼んでこいと言われた訳ではないけど…

「坊ちゃんと…? まぁ、心の広い俺様は、行ってやってもいいけど!」

嬉しそうな表情のギル

私はギルと一緒に、ローデさんの屋敷に戻る

(今日は… 今日一日くらいは、ギルに優しくしてみよっかな…)


ローデさん宅のキッチンにて…
「どうしたんです? エリザがギルを連れてくるなんて、珍しいじゃないですか」

お茶の用意をしながら、ローデさんが不思議そうに尋ねてくる

「暇そうに歩いていたので、ちょっと声をかけてみただけですよ」

本当の気持ちは隠しながら、ローデさんの問いに答えた

「ふ〜ん… まぁ、別に私はいいですけどね…」

なんだかローデさんが含み笑いをしているのが気になるが、気にしないようにテーブルにお茶を運ぶ

「エリザは素直じゃないですねぇ… あの髪飾り、確か、以前ギルにもらった物…」
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