short story

□『おやつの時間』
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キッチンから漂ってくる甘い香り

今日のおやつはチョコレートケーキ

出来上がるまで、私はリビングのソファーで待つ

チョコレートケーキののったお皿を持ってリビングに入ってくる

「セーちゃん、出来たよ」

そう言って、お皿をテーブルにのせ、フランシスさんは私の隣に座った

小皿に取り分けるその横顔がとてもキレイだ

「食べたい?」

小悪魔のように、私に問うてくるフランシスさん

「もちろんです」

私がそう言うと、ニコッと笑った

「キスしないとあげないよ」

私を見て、今度は意地悪げに笑った

「……は……?」

私がぽかんとしてしまった

「たまにはいいでしょ? してくれないとオレが全部食べちゃうよ?」

それは困る。私はチョコレートケーキが食べたい

私は悩んだあげく、ちゅ、と軽く頬にキスをした

「ん〜、まぁ、初めてにしてはいいかな〜。はい、どうぞ」

少し不満はあったようだが、とりあえずケーキののったお皿を渡してくれた

「やっぱりフランシスさんのお菓子は世界一美味しいです」

私が真面目にそう言うと、フランシスさんは笑った

「そう言われるとなんか照れるな〜 実は、冷蔵庫の中にタルトも入ってるんだけど、食べる?」

タルトという言葉に私の耳がピクッと反応する

「食べます!」

私が即答すると、フランシスさんはまた小悪魔のように笑う

「じゃ、今度は口にしてよ」

私はまたまたぽかんとしてしまった

フランシスさんはにこにこしながら私を見ている

きっと私の顔は今、真っ赤なんだろう

私は意を決して、目をつぶって自分の唇をフランシスさんの唇に重ねた

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