short story
□『散り行く命の儚さは』
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※リヒテン→スフィ
「人の命って、儚いと思いません?」
偶然出会って、カフェで紅茶を飲んでいる時だった
スフィが、ぽつりと呟いた
「…何か、あったのか?」
オレは驚いて、少し返事をするのが遅れてしまった
しかし、スフィは気にしていないようで…
「"私"がまだ幼かったころから知っていた方が、亡くなったんです」
目を伏せながら言うスフィ
オレは、あぁ…と思う
スフィはそれほど歴史がある国ではないから
オレのように心がすさんでいないのだろう…
オレは、何度となく人間の儚さを見てきたから、もうスフィのように考える事はない
「アーサーさん?」
黙りこんでいたオレを不思議そうに見るスフィ
「人間の儚さ、な。オレ等は国であり続ける限り、ずっと思い続けるんだろうな」
「辛くは、ありませんか?」
「もうオレにはそんな感情すらないさ」
自嘲気味に笑うオレを、スフィは心配そうな瞳で見つめる
「こればっかりは、どうしようもないからな…」
優しいスフィには、辛いことだろう
そう思いながら空を見上げる
人間の人生は、なんて儚いのだろう…
散り行く命の儚さは
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