short story

□『午後の一時』
1ページ/1ページ


「アーサーさん」

午後のティータイム

アーサーさんの家の庭で、紅茶を頂くのが日課になっていたある日の事

私はふと思いついて、刺繍をしていたアーサーさんに声をかけた

「何だ?」

刺繍を止め、私を見る

「私、アーサーさんのことなんか大嫌いです」

「なっ…!」

私の言葉に、アーサーさんは唖然としている

そんなアーサーさんを放っておいて、私は目の前にある紅茶を頂く

「何言ってるんだ? エリザ?」

若干涙を浮かべた目で、私を見る

そんなアーサーさんはとても可愛らしい

(嫌いなんて嘘なのに。可愛い反応をするんだから)

私がフッと笑うと、アーサーさんはいっそう涙目になった

「冗談ですよ、アーサーさん」

「…………?」

冗談だと言ったのに、アーサーさんは首をかしげる

「私が、アーサーさんを嫌う訳がないでしょう?」

「冗談でも、嫌いなんて言うな、ばかぁ!!」

目尻にためていた涙を流しながら言うアーサーさんは本当に可愛らしくて…

(だから、アーサーさんをからかうのを止められないのよね)

それからしばらく、少し拗ねてしまったアーサーさんを慰めながら、また紅茶を頂いた


午後の一時


(アーサーさん)
(何だ、エリザ)
(好きです)
(は!?)
(冗談です)
(何なんだよぉ!!(泣))


.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ